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【社説】2020年11月13日:女川再稼働、地元同意を重く受け止めよ/ベビーシッター普及の壁は

女川再稼働、地元同意を重く受け止めよ

記事本文

www.nikkei.com

要約

女川原発の再稼働に地元同意がされたことから、安心と信頼を得る努力を学ぶべきだ。

感想

宮城県知事は11月11日、女川原子力発電所2号機の再稼働への同意を表明しました。

これまで県議会や市町村長会などで地元の意見を聞いており、最終的に県知事、及び女川原発が立地している女川町と石巻市の両首長の計三者による協議を経て再稼働に合意しています。

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出典:日経新聞

これまで大飯原発や高浜原発など、日本海側の原発はいくつか再稼働をしているものもありましたが、震災が起こった太平洋側の原発は稼働していません。

原子力規制委員会の審査には合格したものの、東電が管理する柏崎刈羽原発や、東海地方にある東海第二原発のように地元の反対が多く、再稼働の見通しが立たない発電所もあります。

 

東北電力は他の電力会社に比べ、比較的地元との関係が良好であるとも言われています。

事前に敷地を高くしていたため震災時の津波にも耐え、原発敷地内の体育館を避難所として活用していたことなどから、地元住民との信頼関係を丁寧に構築できていたようです。

 

実際の再稼働は東北電力が工事を終える2022年度以降になりますが、東日本側の原発再稼働合意は、同じく再稼働を目指す他の自治体にも影響が波及するものとみられます。

もちろん女川原発とは状況が違うという声はあるでしょうが、そうした相違点を洗い出し、自分のところの原発は再稼働が可能なのかどうか、じっくり考えてみるべきでしょう。

 

菅総理の所信表明演説でも語られたように、国は2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにする目標を掲げており、脱炭素化に向けたエネルギー政策としても原発はいまだ重要な位置を占めています。

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また、エネルギー政策という観点では火力発電も大きなシェアを持っており、二酸化炭素を多く排出する発電方法として課題があります。

そのため、アンモニアを燃焼させて水素を発生させ脱炭素化を進める「ブルーリカバリー」の研究も行われています。

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脱炭素化は世界的な流れとなっており、温暖化ガスの削減に努力する企業に税制面で優遇措置をする制度も考えられているそうです。

その場しのぎではなく2050年を実感のある将来とし、その時の世界、及び日本をイメージし、自分がどのような生活をしているか、そしてその生活に必要なエネルギーはどこからきているのかを細部まで想像することで、一人ひとりがエネルギー政策について自分の考えを持ち、より良い未来へ進んでいくことにつながるのではないでしょうか。

 

ベビーシッター普及の壁は

記事本文

www.nikkei.com

要約

ベビーシッターの普及に向け、安全性や費用について考える必要がある。

感想

菅総理は所信表明演説で、待機児童問題解消のためにベビーシッターの活用を検討すると表明しています。

令和2年10月26日 第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説(抄)

六 安心の社会保障

待機児童の解消を目指し、女性の就業率の上昇を踏まえた受け皿整備、幼稚園やベビーシッターを含めた地域の子育て資源の活用を検討し、年末までにポスト「子育て安心プラン」を取りまとめます。

 

一方で、今年に入ってからベビーシッターと利用者をマッチングするサービスにおいて、ベビーシッターが子どもへのわいせつ容疑で逮捕される事件も起こりました。

当該事業者は現在、男性シッターの登録受付を停止しています。

 

ベビーシッターの普及に向けては、内閣府が割引券の形で費用の一部を助成しています。

割引券を利用できる事業者はほとんどが請負型(シッターを派遣する)であり、マッチング型は2事業者しかありません。

 

請負型の事業者HPをいくつかのぞいてみたところ、年会費や入会金がかかるところや、時給がマッチング型と比べて高額になっているところが多い印象を受けました。

請負型は何かあった時に事業者側が責任を持つため、その分の料金が上乗せされているものと思われます。

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出典:内閣府

マッチング型サービスは料金がお手頃であったり、即日に依頼したりと手軽にシッターを見つけやすい反面、トラブルが起こった場合は原則としてシッターと利用者の間で解決しなければなりません。

内閣府の認定事業者の利用規約にも、以下の通り記載されています。

<認定事業者A>

シッティングサービス契約は、シッティングサービスを受けるユーザー(依頼者)とシッターの間で成立します。当社はシッティングサービス契約の当事者ではありません。このため、シッティングに関して生じた紛争等については、依頼者及びシッター間で解決いただきます

<認定事業者B>

保護者等及び保育者は、自らの責任においてサポートサービス契約を締結するものとし、サポートサービス契約に関連して生じた紛争等について、保護者等及び保育者間で解決することを原則とします

これらサポート事業者は「場」を提供するプラットフォーマーにすぎないことから、利用者はリスクを踏まえた上で契約する必要があります。

 

プラットフォーマー問題ということで、SNS運営会社などのIT企業が原則責任を問われないとする米国通信品位法230条と似た雰囲気を感じますね。

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厚労省は11月9日、児童部会子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会(第12回)を開催し、マッチングサイトのガイドライン改正や、シッターが事案を起こした場合の対応について議論しています。

内容を一部抜粋すると、これまでガイドラインでトラブル解決について記載していたところ、他の利用者への情報共有に関する規定を盛り込んではどうかといったことが話し合われたようです。

現行規定

トラブル解決のための措置について
保育者と保護者との間でトラブルが生じた場合は、当該トラブルの解決のための措置を講ずること。
(注1)保育者及び保護者双方から主張を聞き、トラブル解決に努めること。
(注2)上記対応が困難な場合、トラブルの解決のための措置として、事案に応じ、認可外保育施設・事業者の届出先となる都道府県等の担当課、
利用者支援事業(※)の担当窓口、消費生活センター等への相談を案内すること。

検討案

○ 相談、トラブル内容に応じて、他の保育者や利用者への情報共有が必要と判断される場合には、個人情報に留意しつつ、ホームページ等を通じて情報を公開することについて記載。
○ 保育者に対し、賠償責任保険への加入を促すとともに、マッチングサイト運営者としても保険に加入することについて記載。

今後は適切な規制をして安全性を担保しつつ、事業者が参入しにくくなるほどガチガチには固めないようなバランス感覚が必要そうですね。

 

余談ですが、ベビーシッター事業者のHPを眺めていたところ、気になる調査結果を見つけたので共有します。

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出典:キッズライン

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出典:キッズライン

スキンシップ、したいですね。