世界秩序の安定へ米政権移行を円滑に
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要約
米政権移行をスムーズに進め、日本も新政権に協力して国際協調を目指すべきだ。
感想
今月頭に行われたアメリカ大統領選挙は、日本でも話題になりましたね。
バイデン氏が勝利を確実なものとした後も、トランプ大統領は敗北を認めず、政権移行作業が遅れていることが問題視されていました。
が、今週ついにトランプ大統領は引継ぎへと舵を切りました。
通常政権移行作業は、GSA(General Services Administration、米連邦政府一般調達局)が選挙戦の勝者を認定し、政権移行のための予算執行を承認することから始まります。
今回は現職大統領が敗北を認めていないこともあり、GSAのエミリー局長は勝者認定ができずにいました。
彼女やその家族が批判や嫌がらせを受けているのを見かねたのか、トランプ大統領は政権移行作業を始めるように指示を出しました。
I want to thank Emily Murphy at GSA for her steadfast dedication and loyalty to our Country. She has been harassed, threatened, and abused – and I do not want to see this happen to her, her family, or employees of GSA. Our case STRONGLY continues, we will keep up the good...
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2020年11月23日
...fight, and I believe we will prevail! Nevertheless, in the best interest of our Country, I am recommending that Emily and her team do what needs to be done with regard to initial protocols, and have told my team to do the same.
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2020年11月23日
引継ぎ作業は、その職務内容が複雑であったり権限や関わる人が多いほど、所要時間や頭に入れておく資料の分量が多くなる傾向にあると思います。
ましてやアメリカ大統領ともなると、非常に大変でしょう。もしかすると世界で一番引継ぎ事項が多い仕事かもしれません。
日本の場合はどれくらい引継ぎ作業に時間をかけているのか、ふと気になったので調べてみました。
幸い(?)近年2回の政権交代が行われているので、ネット上に当時のデータが残っています。
まず2009年の政権交代から。この時は麻生政権から鳩山政権への移行でした。
直接のきっかけとしては2009年8月30日の衆議院総選挙で民主党が圧勝したことですが、政権移行作業は9月2日から始まったようです。
新政権発足の9月16日まで約2週間ということで、従来2ヶ月以上要する(今回は遅れたので2ヶ月弱)アメリカに比べると、非常に短い印象を受けます。
もう一つは2012年の野田内閣から安倍内閣への政権交代です。
この時は2012年12月16日の衆議院総選挙で自民党が勝利し、12月26日に新政権が発足しています。
選挙から約10日ということで、こちらも非常に短期間での引継ぎ作業となっていますね。
これは憲法の総選挙にかかる規定(選挙から30日以内に国会召集)はもちろん、アメリカの猟官制と日本の官僚制との違いもあるでしょう。
〔総選挙、特別会及び緊急集会〕
第五十四条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
アメリカでは政権交代のたびに次官補(局長級)以上の高級官僚を大統領が任命しています。
人材供給源も多様で、民間企業や法律事務所、教育・研究機関など外部人材が多く登用される傾向にあります。
ヨーロッパや日本では対照的に、職業公務員(官僚)の専門性や中立性を重視し、政治的任用はほとんど無いか、あっても昇進を重ねた公務員から選ばれることが多くなっています。
アメリカのように大規模な行政スタッフの入れ替えを伴う場合には、政権移行に長い期間をかけるのは妥当でしょう。
古代ギリシアのペリクレスは、くじ引きで行政スタッフを決めるなどして民主化を推し進めました(これはペリクレスが非常に優秀なリーダーであったことが前提ですが)。
そこまで極端ではなくとも、民と公を行ったり来たりできるような、幅広い視点を備えた行政官が生まれる制度ができればいいな、と思います。
出向者に企業は十分な説明を
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要約
需給に合わせた企業間の人材融通には、労働者への丁寧な説明が不可欠だ。
感想
感染症の影響で、業務を縮小した企業が従業員を休業させる際に支払う休業手当を国が補助する「雇用調整助成金の特例措置」が今年4月から始まっていますが、12月31日をもって終了する予定となっております。
依然として業績が厳しい企業が多いなか、厚労省は無料で企業間出向のマッチングをしたり、賃金の一部を助成する取り組みを進めています。
こうした「 雇用シェア(在籍型出向制度)」を国が後押ししていることもあり、人材が余っている企業から不足している企業へ出向する例が増えております。
なお、労働契約法では出向について定められており、明らかにおかしい場合は無効となります(判例:長年デスクワーク中心だった技術者が出向先で机やパソコンを与えられず、単純作業のみさせられた事件)。
労働契約法(抄)
(出向)
第十四条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。
また他の注意点として、今回の雇用シェアは「労働者供給」に該当しますが、職業安定法では労働者供給事業を行ってはならないとされているため、今回の雇用シェアそれ自体を事業として行うのは禁止されています。
職業安定法(抄)
(労働者供給事業の禁止)
第四十四条 何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
ジョブ型採用も支持される時勢柄、雇用シェアを機に、社会人の学び直し(リカレント教育)が進むことを期待しています。
自分も、日々のブログを足掛かりにより広い知識をつけるとともに、デジタル人材となれるようプログラミングの勉強などにも精を出していきたいと思います。