高齢者医療の負担改革に終止符を打つな
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要約
75歳以上の医療負担原則2割は中間案になったが、政府は対象者を増やす方向で検討を続けるべきだ。
感想
政府の全世代型社会保障検討会議において、75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担割合を増やす議論が最近行われていました。
前回開催の会議議事録を読んでいて、1割負担から2割負担に増加する収入帯について5つの案のうち、最も負担する人数が多くなる案(1割負担の収入制限が厳しい案)が選ばれるかと思っていましたが、選挙の思惑などから中間の案に着地することとなりました。
これはまさに世代別投票率の差異が政策の方向性を決定づける要因として、大きく働いた事例でしょう。
総務省の統計によると、衆議院選挙と参議院選挙双方とも、年代が若くなるにしたがって投票率が下がっていく傾向にあります。
若者は「自分一人が投票してもしなくてもどうせ政治は変わらない」と考えたり、そもそも政治に興味がない、知りたいと思わない人が多いのではないでしょうか。
何か政治に興味を持つようなきっかけが子どもの頃や学生の時期にあれば、投票所に足が向きやすくなるのではと思います。
選挙について考える時に、いつも思い出すことがあります。
私の高校の世界史の先生が語っていたことですが、あるとき、選挙の当日に夕方から社会科系の先生たちで集まって飲んでいたそうです。
会の途中で一人の先生が投票に行ってないことを思い出したものの、もう時間もギリギリで話に花が咲いていた状態でした。
しかしその先生は「社会科の教師である以上、投票に行かないという選択肢はない」と言い、会を中座して投票所へ向かったそうです。
私はこの言葉が非常に印象に残っており、自分が選挙権を持ったら、絶対に投票に行こうという気持ちを強くしました。
また歴史を学べば学ぶほど、普通選挙という仕組み自体が、先達の血のにじむような民主化に向けた努力の末に手にした制度であることがひしひしと伝わってくるので、投票ができるというのは幸せなことだな、と思います。
最近は民主化を弾圧するかのような動きも一部でみられますから、ますます民主主義の価値は高まっていると言えるでしょう。
私は、選挙が近づき投票券が家に届くと、その小さな紙に板垣退助やラファイエット、アベ・シェイエスといった偉大なる先人たちの血や涙、汗が染みこんでいるように感じるのです。
フランス革命でも、「憲法制定まで解散しないぞ」とテニスコートで誓い合った時は様々な考えを持つ有志が協力していましたが、時代が進むにつれてロベスピエールの恐怖政治など、理想の政治体制とは程遠い雰囲気になってしまいました。
いま一度歴史を紐解いて、人類は何を求めてここまで努力を重ねてきたのか、ということに思いをめぐらせてみるのが良いのではないかと思います。
景気の二番底に細心の注意を
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要約
日銀の短観によると企業景気は小幅の改善を示しているが、予断を許さない状況。
感想
今月14日、日銀は全国企業短期経済観測調査、通称「短観」を公表しました。
こちらは毎四半期ごと、すなわち3月、6月、9月、12月に調査結果が発表されており、企業の景気見通しや、生産量や流通量の変化など、足元の景気判断の材料として用いられています。
簡単に言うと、全国から約9500社抽出して「もうかりまっか?」「ぼちぼちでんな」のような回答を項目や企業の規模・業種別に分類して集計するデータとなります。
12月の調査では、企業の業況判断を示すDI(Diffusion Index)、もうかっている企業割合からもうかっていない企業割合を引いた数が、前回調査(9月)から改善していることがわかります。
とはいえ、まだ景気が悪いと判断する企業の方が多い(DIがマイナス)ことがわかります。
改善傾向にはあるものの、一方で非製造業、とりわけ中小企業においては今後12月から3月にかけての景気見通しが悪く、二番底に落ちてしまうのではないかという懸念があります。
落ちていく、落ちていく、、、夢の中へ、、、となってしまっては、無限の悪夢を断ち斬れません。
いまこそ経済政策の責務を全うし、景気悪化を防いでもらいたいものです。