明暗が分かれたソニーとパナソニック
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要約
業績が低迷するパナソニックには、ソニーと切磋琢磨して国際的な競争力を取り戻してほしい。
感想
先月や今月は、今年度第二四半期(7月~9月)の決算発表をする企業が多くなっていますね。
パナソニックも先月29日に業績を発表しており、景気悪化の影響を受け売上高を落としていることがわかります。
一方、かつてパナソニックのライバルとして名前の上がることが多かったソニーは、映画事業で大きく減収しているものの、巣ごもり需要からゲーム事業が大きく伸びており、業績は好調となっています。
また今月13日、パナソニックは来年社長が交代することを発表しました。
合わせて2022年の4月より、持株会社制へ移行することも決定しております。
そもそも持株会社というのはどういったものなのでしょうか。
パナソニックはプレスリリースで、持株会社制への移行をこのように語っています。
持株会社制へと移行することにより、分社化された各事業会社は、より明確になった責任と権限に基づき自主責任経営を徹底いたします。これにより、各事業会社は、外部環境の変化に応じた迅速な意思決定や、事業特性に応じた柔軟な制度設計などを通じて、事業競争力の大幅な強化に取り組みます。
一方、当社は、持株会社として各事業会社の事業成長の支援と、グループ全体最適の視点からの成長領域の確立に特化し、グループとしての企業価値向上に努めてまいります。
これまでカンパニー制で疑似的に持株会社のようにしていたところを、ホールディングスにして会計など分離し、責任と権限をそれぞれに与えるという感じでしょうか。
プレスリリースを読んでいて気になったのが、「パナソニック株式会社」という商号は新たな会社が引継ぎ、そこで以下の5事業を司るという点です。
- 中国・北東アジア事業
- ホームアプライアンス事業
- 空調・空質事業
- 食品流通事業
- 電気設備事業
消費者にとって知名度のある「パナソニック」という名前を使い続けたいという気持ちはわかりますが、結局ここが肥大化してしまうのではないでしょうか。
迅速な意思決定のためには、なるべく小回りのきく体制の方がいいのではないか、と心配になってしまいます。
川辺川ダムは総合的検証を
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要約
治水対策は長期的、総合的な視点で考えることが大切だ。
感想
今月19日、熊本県知事は須磨川流域の治水対策として、かつて地域住民の反対などから中止していた川辺川ダムの建設計画を廃止し、「新たなダム」として検討する考えを示しました。
私は、ここに、特定多目的ダム法に基づく現行の貯留型「川辺川ダム計画」の完全な廃止を国に求めます。
その上で、「緑の流域治水」の1つとして、住民の「命」を守り、さらには、地域の宝である「清流」をも守る「新たな流水型のダム」を、国に求めることを表明いたします。
元々1966年に建設計画が発表されておりましたが、地域住民の反対などから停滞しており、現知事が就任した2008年に川辺川ダムについて「ダムによらない治水」を目指すとし、ダム建設計画を白紙撤回しておりました。
これまで様々な案を考えたものの、コストや工期が肥大化していたことから合意には至っていませんでした。
そんな中今年7月の熊本県豪雨により甚大な被害が発生したことを受け、今年10月26日にくまもと復旧・復興有識者会議から知事に渡された提言も参考にしつつ、迅速な治水対策のためダム建設を再度テーブルに上げると決断したのです。
これまで「ダムによらない治水」を目指し、川の幅を広げたり堤防を高くしたり、川の横に水をためる遊水地をつくる計画などが俎上に上がっていました。
昨年11月13日には、10の案に絞るところまできていました。
そこで自分が面白いなと思ったのは、地下にトンネルをつくって川の水を海に逃がす、放水路案です。(下の図ルート4案)
資料を読みながら「川の幅を広げたりするのは現実的じゃないよな、確か東京の地下に大きな地下室みたいなのがあったはずだから、それを真似ればいいのでは」と思っていたところ、やはり考えられていました。
東京の地下では見学会も再開しているようなので、いつか行ってみたいですね。
話を戻すと、熊本県の治水工事について様々な案が示され、その安全性などが議論されました。
応援しているルート4案について見ていたところ、整備の完了まで45年かかるとされており、結構時間がかかるなと感じました。
ですが他の案に目を移すと、整備完了まで200年かかる案などもあり驚きました。
むしろルート4案は治水効果の発現まで30年~50年と見込まれ、最短クラスのようです。
市町村長もルート4案に対しては、珍しく以下の通り賛同する意見もみられます。
各対策で用地等の権利関係をまとめる必要があることを考えると、放水路案は費用対効果を検討すべきと思うが、一番実現可能性が高いのではないか。
放水路の川辺川上流部から本川下流へ放水するルート案は、洪水の調節機能としては非常に効果的で最も実現可能な方策と思う。
この案の問題点は、費用面です。
ルート4案は約8200億円の事業費がかかり、かつ工期が短いことから、1年間で必要な費用が他に比べ非常に多くなるようです。
この議論を読んで、「せっかくいい計画なのにお金がかかるからやめちゃうのか、しかも工期が短いっていいことだろうに」と思いました。
良い落としどころを見つけて、安全と自然を両方尊重するような、そんな治水対策が講じられることを願っています。