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【社説】2020年12月1日:75歳以上の窓口2割負担、範囲を極力広く/東証障害を機に市場活性化を

75歳以上の窓口2割負担、範囲を極力広く

記事本文

www.nikkei.com

要約

世代間格差を減らすため、後期高齢者の窓口負担2割の対象者は広くすべきだ。

感想

ちょうど1か月前にも、75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を、現行の1割負担から2割負担に拡充すべきとの記事を書きました。

platon.hatenablog.jp

安易な世代間、業界間の対立にしてはならないとこの時も書きましたが、医師会vs経済界の対立構造はまだまだ続いているように思えます。

 

私も現役世代ではありますが、もし医師会や厚労族のような高齢者側に立った主張をするグループがいなかったら、現役世代の声のみで世論が形成されてしまうのではないだろうかという懸念もあります。

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あまり不満をためすぎると、思わぬ反発を受けるかもしれません。

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もちろん、破綻することがわかっていながら将来のことを考えずに伝統を守り続けようという考えはふさわしくありません。

 

菅総理も将来世代のことを考え、先月24日の全世代型社会保障検討会議で以下のように語っています。

 本日は、医療関係者の皆さんから御意見をお伺いした上で、医療改革について議論しました。
 少子高齢化が急速に進む中、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくことが、我々の世代の責任であります。そのためにも、少しでも多くの方に支える側として活躍いただき、能力に応じた負担を頂くことが必要であります。昨年12月にまとめた中間報告では、75歳以上の高齢者であっても一定所得以上の方については、新たに窓口負担割合を2割とすることにしています。
 本日は、この2割負担とする所得基準の在り方などについて、医療関係者や民間議員の皆様より幅広い御意見を頂きました。本日頂いた御意見を踏まえて、更に具体的な検討を進め、本会議が年末に取りまとめる最終報告において結論を得たいと思います。

www.kantei.go.jp

 

会議でも有識者が語っていたように、所得のみではなく持っている資産で評価することも重要な視点です。

確かに高齢者になると所得は現役世代に比べ少なくなりますが、安定した年金に加えて貯蓄や持ち家の比率が若年層に比べ高いため、そうした金融資産も考慮に入れるべきでしょう。

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出典:翁百合議員

なお2割負担の対象者として、厚労省は以下の通り5つの所得区分に分けて案を示しています。

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出典:厚生労働省

全世代型社会保障会議の議事録を読んだところ、5番目の案(後期高齢者の上位44%、住民税を払える所得水準)に賛同する方が多そうでした。

今後の議論次第ではあるものの、年末の結論に向け次回以降の会議では5番目の案を導入した場合を想定し、賛成案・反対案の根拠資料がつくられるのではないかと思います。

 

全ての世代が痛みを分かち合い、文字通り全世代(高齢世代・現役世代・将来世代)が満足な社会保障を受けることができるような制度作りに期待ですね。

自分とは異なる世代をお互いが尊重しあうことで、より良い社会がつくれると信じています。

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東証障害を機に市場活性化を

記事本文

www.nikkei.com

要約

東証は取引停止の再発防止をするとともに、市場の価値を高めていきたい。

感想

10月1日、東京証券取引所はシステム障害を起こし、終日取引停止となりました。

金融庁は業務改善命令を下し、東証の社長であった宮原氏は責任をとって辞任しています。

platon.hatenablog.jp

 

11月30日に独立調査委員会が提出した報告書によれば、技術的にはシステム提供者である富士通及びその製品の開発元であるメーカーとのコミュニケーション不足によってマニュアルに不備があったことが原因のようです。

 富士通が東証に提供したマニュアルは、A社から提供された仕様書に基づいて作成されているが、A社から提供された仕様書に NASの製品仕様に伴う修正が加えられていなかったため、富士通製品担当は、「オンパニック」を「False」に設定した場合の NASの動作を改めて検証する必要性を認識できなかった、とのことである。

 本障害発生の技術的原因という観点からは、一定頻度での発生を避けられないメモリカード故障という偶発的事象に対処するための NASの自動切替えに関する設定にマニュアルの記載ミスに起因する不備があったという点が最大の問題であり、その点については富士通の責任が大きい。
 また、自動切替えが正常に動作しない場合を想定し、手動切替えの方法や手順等の準備を十分にしておけば本障害の影響をより低減することができたと考えられるから、事前対応においても富士通には十分でない点があったと考えられる。

 

一方で、システム異常発生時に適切な売買停止手段が機能せず、ネットワークの遮断によって無理やり停止せざるを得なかったために再開を難しくしてしまったことはまあいいとしても、売買再開に向けたルール整備が不十分であったために終日売買停止となったことについては、東証に責任があるとされています。

 本障害発生時に当日中の売買再開を行うことができなかった原因に関しては、本障害発生時の事実関係を前提とすると、①8時36分に売買停止を決定したこと、②その後に売買停止に向けた作業を行い、最終的にロードバランサ遮断という手段を講じたこと、③arrowheadの再立ち上げによる売買再開は困難という判断のもとに終日の売買停止を決定したことという東証におけるいずれの判断も、不合理であったとは認められない。

 他方で、①NASの障害発生時に緊急用売買停止機能を利用できなくなる可能性の検討が十分でなかったという問題があるほか、②システム障害発生時における、注文受付可否の判断手続、売買停止の判断手続、通常でない売買停止後の売買再開に向けた手続等に関する事前の十分な検討とルール化、取引関係者を含めた関係者への周知という点においては不十分な点があったと考えられる。

 

今後は「Never Stop」のみならず、事故が起こる前提で対応策も考えておく「Resilience(障害回復力)」も重視していく必要があります。

IT化がより一層進むことが予想されるなか、「事故前提社会」の構築に向けた取り組みがなされていくことが望まれますね。