RCEPを日本主導で大きく育てたい
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要約
日本が自由貿易の旗手となり、RCEPを発展させたい。
感想
今月15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の署名式が行われました。
オンラインで実施されたのが、今風でいいですね。
菅総理の隣にいるのは梶山経済産業大臣です。
経産省のHPに共同声明の翻訳が掲載されていました。
RCEPはASEAN10か国、及び日中韓、オーストラリアとニュージーランドの計15か国が参加しており、2012年11月に交渉が立ち上げられてから、約8年の歳月をかけていました。
インドは途中で離脱しましたが、RCEPへの共同声明と同時にインドがいつでも参加できるとする宣言も発出されています。
RCEPの参加国は世界の人口、経済規模ともに約3割を占めており、この巨大な市場が貿易自由化に向かっているということは、協定に参加している15か国のみならず、世界の貿易に対する考え方にも一定の影響を与えるものと思われます。
昨今はトランプ大統領のアメリカ第一主義やイギリスのEU離脱、コロナ禍で人の往来が減少したことによる自国ファーストの広がりが自由貿易を脅かしてしました。
そうした中で、成長著しい東アジア、そして中国も含めた各国が自由貿易へ舵を切るようなメッセージを出したのは、歓迎したいと思います。
WTO(世界貿易機関)が先進国と発展途上国との利害対立などで存在感を弱めている中、多国間貿易の旗手として、日本が国際社会をリードしていくことに期待しています。
スー・チー氏は和平を急げ
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要約
スー・チー氏は選挙で大勝したが、ミャンマーの民主化はあまり進んでいない。
感想
今月8日にミャンマーで上下両院の総選挙が行われ、13日にはアウン・サン・スー・チー国家顧問が率いる国民民主連盟(NLD)が勝利を確実なものとしました。
ミャンマーは第二次世界大戦後、社会主義政党が政権を持っていましたが、1980年代終わりに民主化デモが勃発、これを国軍が鎮圧し、長らく軍事政権が続いていました。
1990年には総選挙が実施され、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟が圧勝しましたが、軍事政権はこれを認めず、民主化勢力に対し厳しい弾圧を行いました。
2011年には新政権が発足し、経済制裁の解除や国際社会への復帰を目指した民政移管が行われ、民主化に向けて大きく動き出しています。
なお、この新政権は軍出身者が閣僚の8割以上を占めており、国軍による新しい形の支配とも言われていました。
この2011年のミャンマー及び周辺諸国の情勢については、西口(2012)で詳しく解説されています。
2015年の総選挙でスー・チー氏は大勝し、軍事政権から解放され民主政権が樹立されました。
一方で、近年ではミャンマー国軍によるイスラム系少数民族ロヒンギャに対する迫害が行われ、70万人以上の難民がバングラデシュに流出するなどしており、欧米などから厳しい目を向けられています。
日本はこれまでミャンマーに対して資金援助や技術協力で支援し、経済社会発展の向上に貢献しています。
下の写真は、日本の支援で小学校の新校舎が建設された際の様子です。
ミャンマーはRCEPにも加入している、ASEAN参加国です。
自由貿易と民主主義の理念を共有する国として、政治情勢を安定させ、発展することを願っています。