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【社説】2020年11月9日:勝者総取りが際立つ米巨大IT決算/皇室めぐる課題に早く着手を

勝者総取りが際立つ米巨大IT決算

記事本文

www.nikkei.com

要約

プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業が利益を伸ばしている。

感想

GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の業績はコロナ禍でも伸びており、デジタル化が進む中で勝者総取りの様相を呈しています。

こうした動きに当局も目を光らせており、先月、アメリカ司法省はGoogleを反トラスト法違反で提訴しました。

具体的にどのような罪状であったかは、下記記事で解説しています。

platon.hatenablog.jp

 

またプラットフォーマー規制に関して話題に上がるのが、米国通信品位法230条です。

www.law.cornell.edu

この法律の以下の条文が重要とされています。

No provider or user of an interactive computer service shall be treated as the publisher or speaker of any information provided by another information content provider.

日本語に翻訳すると「双方向コンピューターサービスの提供者や利用者は、ほかのコンテンツ提供者が提供した情報の発行者や表現者として扱われないものとする」といった感じになります。

 

下記図のように、発信者責任を問われるテレビや新聞と異なり、発信する「場」を提供するSNS運営企業は法的責任を原則問われないという内容です。

f:id:Platon:20201109071333p:plain

出典:日経新聞

www.nikkei.com

 

この条文の単語数から、「インターネットをつくった26の単語」と称されることもあるそうです。

f:id:Platon:20201109071053p:plain

www.jeffkosseff.com

 

通信品位法230条の成り立ちや過去の判例については平野(2014)に詳しい解説が載っています。

立法根拠となった事件として、電子掲示板運営会社が「不快な情報コンテンツを規制する」と公言していたにも関わらず、匿名の誹謗中傷を削除せずそのままにしていることを咎められ、賠償責任を問われることになりました。

コンテンツ規制を公言していなければ罪に問われなかったという反倫理的な判決に不満の声が上がり、通信品位法230条がつくられました。

 

230条には「善きサマリア人」の文言が含まれる条項があり、エロやグロなど好ましくないコンテンツを制限する場合、ユーザーや運営会社は責任を問われないとしています。

(c)Protection for “Good Samaritan” blocking and screening of offensive material

No provider or user of an interactive computer service shall be held liable on account of—
(A)any action voluntarily taken in good faith to restrict access to or availability of material that the provider or user considers to be obscene, lewd, lascivious, filthy, excessively violent, harassing, or otherwise objectionable, whether or not such material is constitutionally protected; or
(B)any action taken to enable or make available to information content providers or others the technical means to restrict access to material described in paragraph

 

これまでも様々な裁判が230条をめぐって行われてきました。

また最近でもトランプ大統領が自身のツイートに注意書きが付けられていることに怒り、企業がユーザーの投稿を削除することを制限するよう求めています。

一方でバイデン氏も230条に対してはトランプ大統領と異なる問題意識を持っており、企業がユーザーの投稿内容に責任を問われないという内容が現在の状況と合っていないと法改正を求めています。

 

SNSを多くの人が使うようになったことで情報の拡散、拡大が容易になり、大きなムーブメントを起こすようになりました。

それが必ずしも良い方向に動く場合だけではなく、時に誤った方向に暴走してしまうことも少なくありません。

私たち一人ひとりが「善」とは何か、「善」に向かうためにはどのように行動するのが良いかを考えることで、より良い世界がつくれると信じています。

 

皇室めぐる課題に早く着手を

記事本文

www.nikkei.com

要約

天皇の代替わりの儀式がひと段落した今、皇室について議論すべきだ。

感想

2017年に成立・公布され、2019年に施行された「天皇の退位等に関する皇室典範特例法について」によって、現在の上皇陛下が退位され、令和が始まりました。

www.kunaicho.go.jp

法案成立時には、以下の附帯決議が付されています。

○附帯決議
一 政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。
二 一の報告を受けた場合においては、国会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について、「立法府の総意」が取りまとめられるよう検討を行うものとすること。
三 政府は、本法施行に伴い元号を改める場合においては、改元に伴って国民生活に支障が生ずることがないようにするとともに、本法施行に関連するその他の各般の措置の実施に当たっては、広く国民の理解が得られるものとなるよう、万全の配慮を行うこと。

 

附帯決議に法的拘束力はありませんが、立法府の意見として政府に行動を促す側面があります。

実際に法改正後、運用に関する国会答弁で「成立時にこういう附帯決議を付けたけど守ってないんじゃないか」と政府に行動を求める論戦が行われることもしばしばです。

 

天皇は日本国憲法で象徴と定められており、条文でも第一条から第八条、戦争放棄が登場する第九条の直前まで天皇について規定されています。

そもそもの始まりについて、初代天皇は神武天皇であり、さらにその始祖は古事記や日本書紀にも登場する神様、天照大御神とされています。

古事記や日本書紀については、下記記事で原文の解説等を行っています。

platon.hatenablog.jp

 

女性・女系天皇をめぐる議論は様々ありますが、これを機にイザナギ・イザナミの国生みをはじめとする魅力的なエピソードが多数収録されているベストセラー、古事記・日本書紀をひもといてみるのも面白いでしょう。