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【社説】2020年12月23日:「桜」の捜査終結で幕引きは許されず/学校での性被害をなくすには

「桜」の捜査終結で幕引きは許されず

記事本文

www.nikkei.com

要約

桜関連の政治と金の問題解決には、真相究明と誠実な説明が必要だ。

感想

「桜を見る会」前夜祭について、今月22日までに、 東京地検特捜部は安倍晋三前首相から任意で事情聴取をしました。

これまでも東京地検特捜部は首相経験者の捜査をしておりますが、ロッキード事件の田中角栄氏を起訴した事例の後は、橋本龍太郎氏、鳩山由紀夫両氏が捜査されたものの、不起訴処分となっています。

 

今回の安倍氏も不起訴処分になる見通しですが、公設第一秘書は略式起訴される見込みとなっております。

そもそも何が問題になっているかを簡単に説明すると、「桜を見る会」前日に安倍氏の後援会が開いたパーティーに、参加者から集めた金額以上の規模でもてなしたのではないかということから「有権者への寄付」及び「集めた参加費とホテルへの支払いを収支報告書に記載していない」という2点が追及されているという構図になります。

 

取り上げられている政治資金規正法では、以下のとおり目的と理念が語られています。

政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第二条 この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように、適切に運用されなければならない。
 政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たつては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。

今回問題になっている収支報告書への不記載は、以下の条文が焦点のようです。

(報告書の提出)
第十二条 政治団体の会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、毎年十二月三十一日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から三月以内(その間に衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の公示の日から選挙の期日までの期間がかかる場合(第二十条第一項において「報告書の提出期限が延長される場合」という。)には、四月以内)に、第六条第一項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣提出しなければならない。

第二十五条 次の各号の一に該当する者は、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
一 第十二条又は第十七条の規定に違反して報告書又はこれに併せて提出すべき書面の提出をしなかつた者
一の二 第十九条の十四の規定に違反して、政治資金監査報告書の提出をしなかつた者
二 第十二条、第十七条、第十八条第四項又は第十九条の五の規定に違反して第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に記載すべき事項の記載をしなかつた者

また本件に関しては、政治資金規正法違反の疑いに加えて公職選挙法違反の嫌疑もかけられています。

公職選挙法によると、以下のとおり有権者への寄付が禁止されております。

公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)

(公職の候補者等の寄附の禁止)
第百九十九条の二 (略)

(公職の候補者等の氏名等を冠した団体の寄附の禁止)
第百九十九条の四 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)の氏名が表示され又はその氏名が類推されるような名称が表示されている会社その他の法人又は団体は、当該選挙に関し、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)に対し寄附をする場合は、この限りでない。

(後援団体に関する寄附等の禁止)
第百九十九条の五 政党その他の団体又はその支部で、特定の公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)の政治上の主義若しくは施策を支持し、又は特定の公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)を推薦し、若しくは支持することがその政治活動のうち主たるものであるもの(以下「後援団体」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)に対し寄附をする場合及び当該後援団体がその団体の設立目的により行う行事又は事業に関し寄附(花輪、供花、香典、祝儀その他これらに類するものとしてされるもの及び第四項各号の区分による当該選挙ごとの一定期間内にされるものを除く。)をする場合は、この限りでない。

「桜を見る会」前夜祭を主催したのは「安倍晋三後援会」ということですから、もし参加費以上の開催費用を後援会が補填していた場合、公職選挙法第百九十九条の四の「氏名等を冠した団体の寄付」として法律違反になる可能性がありますね。

 

なお同後援会の代表を務め、収支報告書不記載の罪を背負うこととなりそうなのが公設第一秘書ですが、この役職は国会法によって以下のとおり定められています。

国会法(昭和二十二年法律第七十九号)

第百三十二条 各議員に、その職務の遂行を補佐する秘書二人を付する。
 前項に定めるもののほか、主として議員の政策立案及び立法活動を補佐する秘書一人を付することができる。

第百三十二条で規定されている秘書二人が公設第一秘書、公設第二秘書と呼ばれています。

ちなみに、同条2項の政策立案及び立法活動を補佐する秘書は政策担当秘書と呼ばれ、こちらは資格試験の合格が必要になっています。

 

話を前夜祭に戻すと、とりあえず収支報告書の不記載は逃れられないでしょうから、公設第一秘書の起訴処分は妥当な線と言えます。

寄付行為の方は、参加費5000円以上のもてなしを参加者が受けていたかどうかが焦点になるでしょう。

 

前夜祭会場となったホテルの宴会プランを見てみると、夜のパーティーは1人10000円を超えるものばかりでした。

安いものを探しても、朝食プランで1人5500円というくらいです。

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一方でこうした高級ホテルであっても、HPからではなく普段からお世話になっている担当者と直接メールでやりとりをしたり、事前に見積もりを出してもらうなどコミュニケーションをとることで、サイトには掲載されていないような予算に合わせたプランを頼める可能性があるという話も聞いたことがあります。

そうした記録に残らなさそうな経緯があった場合、どのように検察側が立証するのか、また野党側の追及にどのように説明を果たすのか気になりますね。

 

国会論戦の場で長々とやられることを是とは言い難いですが、書面で質問と回答をしたり、HP上に経緯の説明文を載っけておいてもらえると、関係者や私のような物好きが満足できるかもしれません。

 

学校での性被害をなくすには

記事本文

www.nikkei.com

要約

教員による子どもへの性被害はあってはならない。教員免許再交付を禁じる法改正も視野に入れるべきだ。

感想

今月22日、文部科学省は昨年度の公立学校教職員の人事行政調査結果を公表しました。

その中で、わいせつ行為等(セクハラ含む)による懲戒処分数は平成30年度に続き、過去2番目の多さになったことを受け、文科省は以下のとおり対応するとしています。

■わいせつ行為等により懲戒処分等を受けた者が依然として多い(過去2番目の多さ)ことについては、引き続き極めて深刻に受け止めており、以下の対応を行う。
・児童生徒に対してわいせつ行為に及んだ教員について、原則として懲戒免職とすることや告発を遺漏なく行うことを徹底
・官報に公告される懲戒免職処分を受けた者の教員免許状失効情報の確認を支援する「官報情報検索ツール」の検索可能期間の直近40年間への延長と適切な活用の促進(令和3年2月中に提供開始予定)
学校環境整備や教育指導体制の見直し、児童生徒とSNS等による私的なやりとりを行ってはならないことの明確化等を含め、わいせつ行為等を生じさせないための予防的な取組の推進
・各教育委員会の人事担当者を集めた研修会等において取組事例の共有を図るなど、あらゆる機会を捉えて、わいせつ行為等の防止に向けた取組を促進

www.mext.go.jp

調査結果には様々なデータがありますが、場面や場所・どんなことをしたかがわかるようになっています。

 

下のグラフを見ると、「体に触る」という行為が圧倒的に多くなっていますが、「性交」が次に多いことに驚愕しました。

通常の恋愛で展開するような体に触る→接吻→性交という段階を踏むのであれば、性交よりも接吻の数が多くなるように思うので、ここに性犯罪の心理学的原因が隠れているかもしれませんね。

こうした欲求は漫画や映像作品など、ファンタジー世界の中で消費するべきでしょう。

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出典:文部科学省

私が中学生の頃、学校のテストで満点をとった際に図書カードをプレゼントすると言った先生がいました。

子どもを物で釣るのはどうかとも思いますが、単純な私は勉強に熱を入れ、満点を取り図書カード500円分をもらいました。

 

その際もう一人満点を取った女の子がおり、図書カードをネタにして話しかけたところ、その子から「5000円分の図書カードをもらった」と言われ、非常に驚きました。

今思えば、先生はその子にアプローチをかけようとしていたのかもしれません。

 

ちなみに私もその子に好意を寄せるようになりましたが、ほどなくして中学の先輩とお付き合いしていることを人づてに聞き、淡い恋は先生とともにひっそりと幕を閉じました。

同志として、その先生が過ちを起こさずに教鞭を振るっていることを願っています。

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