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【社説】2020年10月25日:GoToを土台に観光業の真の再生を/誰にも公平な電力容量市場に

GoToを土台に観光業の真の再生を

記事本文

www.nikkei.com

要約

GoToトラベルを機に観光業の立て直しを図るべきだ。

感想

自分も以前GoToトラベルキャンペーンを利用しましたが、非常に安く宿泊でき驚きました。

地価が高い都内の場合は、賃貸物件に1か月分の家賃を支払うよりもホテルに30回宿泊した方が安い場合もあるそうです。

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ホテル暮らしというのは有名人や芸能人がするイメージがありますが、今後は一般にも広がっていくかもしれません。

というのも、リモートワークが可能な職種であれば職場の近くに住む必要が無く、また外国人旅行者向けにWifiの通信設備を整えているホテルが増加しているためです。

 

一人暮らしで荷物が少なく、家具にもこだわりがなく普段料理をしないような場合は、ホテル暮らしのデメリット(たくさんの荷物を持てない、家具は備え付け、料理はできない)も気にならないでしょう。

朝食ビュッフェや温泉がついていれば、むしろ健康になるかもしれません。

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なおGoToトラベル事業は来年1月31日までを目安とされていますが、赤羽国交大臣は「予算が余れば継続したい」と話しています。

2020年10月9日(金)国土交通省 赤羽大臣会見要旨(抄)

(問)「Go To トラベル事業」について、先日行われた政府与党連絡会議で、公明党の山口代表が、来年度も利用できるよう期間の延長と平日に利用しやすい制度の見直しの検討を要請されました。
国土交通省としてどのようにお考えかお聞かせください。
(答)先日の政府与党連絡会議におきまして、公明党山口代表からは、代表御自身が各地方を回る中で、それぞれの地域の皆さまから、Go To トラベル事業は地域経済にとって大変効果がある、なるべく長く、継続していただきたいという御要望があったことと、予約が相当殺到しており、予約が取れない状況が続いているので、特に平日に利用しやすいような需要の分散の検討を求めるという御発言がありました。
私も同席しておりましたので、そのように承知しております。
現場で少し誤解があるのですが、現在、Go To トラベル事業の割引対象の予約の期限は、1つの目安として、来年の1月31日までとしております
これは、予算を使い切ってしまい、予約が入っても執行できないということがないように、1つの目安として、来年の1月31日までの予約を受け付けることにしておりますが、これはあくまで目安ですので、実際、本事業をこの時点で終了するということではありません
予算の執行状況等を見ながら終了時期を判断していかなければいけないと思いますが、基本的には、予算がどのくらいの消化状況であるかというのは、まだ始まったばかりですので、これからしっかりと予算の執行状況を見ながら、また、できるだけ息長く本事業を実施していきたいと考えております。(後略)

www.mlit.go.jp

 

では予算はどれくらい消化しているのかというと、 1兆1248億円のうち9月末までの利用実績は1099億円(約9.8%)にとどまっています。

2020年10月20日(火)国土交通省 赤羽大臣会見要旨(抄)

本日の閣議案件で報告するものはございませんが、そのほか1点報告させていただきます。
「Go To トラベル事業」の利用実績についてです。
7月22日から9月末までの宿泊割引に係る利用実績について、10月15日までに事務局へ報告があったもので申し上げると、少なくとも約2518万人泊、割引支援額で約1099億円です
これは、一人泊当たりの旅行代金で見ると約1万2000円余りとなっております。
また、8月の利用実績に基づいて、利用価格帯の分布について分析を行ったところ、1万5000円未満の宿泊商品の割合がおよそ8割程度となっています。(後略)

www.mlit.go.jp

 

最近、旅行事業者の予算が足りなくなり割引額が一時減少するという混乱が起こりましたが、全体の予算はまだまだ余っているので、国交省はこれまでの利用実績を鑑み、不足が発生しないよう柔軟に予算配分すべきでしょう。

これまで1割も予算を消化していないことから、年末年始に使い切らなければ来年3月の春休み・卒業旅行シーズンくらいまでは事業が続いていくのではないかと思います。

もしそれでも余ったら、ゴールデンウイーク、夏休みくらいまで延長するかもしれませんね。

その後も消費者や観光業界が継続を強く要求すれば、恒久的な予算がつく可能性もゼロではないでしょう。

 

関連で、今朝の新聞に合宿免許は11月からGoTo対象外になるとの報道がありました。

www.nikkei.com

公式HPで確認したところ、10月23日に以下の通り発表されています。

2020年10月23日(金)「合宿免許商品」の取扱いについて

「合宿免許商品」については、下記のとおりGo To トラベル事業の支援の対象外といたします。

自動車運転免許講習等と宿泊等がセットになった旅行商品、いわゆる「合宿免許商品」の実情を確認していく中で、合宿免許代金の大部分を免許講習等が占めると推察されるものが散見されることや、国家資格である自動車運転免許を取得することを明確な目的としており、旅行需要を喚起するという本事業の趣旨に沿ったものとは言い難いこと等に鑑み、今後、合宿免許商品は本事業の支援の対象外とすることといたします。

■取扱い変更日時
2020年11月1日(日)0時以降にお申込みをされたものについては、支援の対象外といたします。

なお、免許講習費用等と旅行代金(宿泊・交通費)について明確に区分して販売される商品については、当該旅行代金のみ、本事業の支援の対象になります。お申込みを検討されている商品がこれに該当するか否かについては、当該商品の販売会社(旅行会社・旅行予約サイト等)に事前にお問合せください。

goto.jata-net.or.jp

 

確かに、免許合宿は旅行需要とはあまり関係がなさそうなのでこの対応も致し方無しでしょう。

個人的には、自動車運転免許は国交省ではなく警察庁の管轄なので、警察庁に陳情が届く→警察庁が国交省に苦言を呈す、といったことが起こるかどうか気になります。(すでに国交省と警察庁との間で調整済みだとは思いますが)

 

公式HPの発表に翻ってみると、「なお」以下がわりと注目ポイントだと思います。

なお、免許講習費用等と旅行代金(宿泊・交通費)について明確に区分して販売される商品については、当該旅行代金のみ、本事業の支援の対象になります。

合宿免許のプランは旅行代金と講習費用がセットになっているものがほとんどだと思いますが、この発表を受けて11月以降は分離したプランが登場するかもしれません。

その場合、同一事業者が免許講習と旅行プランを手配し販売するのは認められるのか、またそれぞれ別々に販売しつつセットにすると安くなりますよ、というのは許されるのかといった様々な論点が考えられます。

 

と思いをめぐらせていると、公式HPのQ&Aで具体的な販売方法が示されていることに気が付きました。

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合宿免許に関するQ&A(GoToトラベル公式HP)より抜粋

これを見ると、同一事業者のセット販売でも別々の料金をそれぞれ明示していれば割引の対象になりそうですね。

今までは旅行代金と講習代金の合計額をもとに割引されていたのが、旅行代金のみが割引対象になるというだけのようです。

 

ここで邪な考えを起こすと、上記の「合宿免許講習代金」を1円とすることで、これまでとほぼ変わらない割引を受けようとする事業者が現れる可能性が頭に浮かびます。

さすがにそれは悪質なので、すぐに国交省・警察庁から咎められると思いますが。

いずれにせよ、観光業の回復・振興という本来の目的が達成されることを願っています。

 

誰にも公平な電力容量市場に

記事本文

www.nikkei.com

要約

電力容量市場の仕組みや趣旨を広く小売業者や消費者に伝える必要がある。

感想

2016年4月1日以降、いわゆる電力の小売全面自由化が始まり、様々な電力会社の料金メニューを選ぶことが出来るようになりました。

容量市場については報道があるまで自分も全く知らなかったため、調べてみると解説HPが今年6月から開設されていたようです。

www.occto.or.jp

上記HPに、容量市場でのオークションのイメージ図がありました。

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容量市場解説HPより引用

解説HPによると、電力の容量市場は以下の2点が目的とされています。

  • 発電所の建設が適切なタイミングでおこなわれることで、日本における将来の供給力(kW)をあらかじめ確実に確保すること
  • 供給力(kW)の確保によって電力(kWh)取引価格の安定化を実現し、電気事業者の安定した事業運営や電気料金の安定化などの消費者メリットをもたらすこと

簡単に説明すると、発電所の建設や建て替えには時間(リードタイム)がかかるため、電力自由化によって市場価格の低下が進んだ場合、将来の収入確保が見込めないと考え発電投資をやめてしまう事業者が出てくることが懸念されます。

そのような状態になってしまうと、電力需要に対して供給が不足し電気料金が高止まりするばかりか、電力の安定的な供給にも支障が出る可能性があります。

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容量市場解説HPより引用

そうした懸念を払拭するために創設されたのが、容量市場です。

オークションを実施する「電力広域的運営推進機関」のHPに、より詳しい説明資料もありました。

www.occto.or.jp

(↓容量市場メインオークション約定結果)

https://www.occto.or.jp/market-board/market/oshirase/2020/files/200914_mainauction_youryouyakujokekka_kouhyou_jitsujukyu2024.pdf

 

上記PDF資料に約定結果を示す需要曲線と供給曲線が示されており、これは比較的わかりやすいです。

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容量市場メインオークション約定結果より引用

今回のオークションでは、約定価格が想定を超えるほどの高い金額となったことが議論の火種になっています。

「発電事業者が本来得られるべき収入のうち電力価格の低下で減少した部分を容量市場で補うから電力価格には影響ない」という説明がされていますが、果たして本当にそうなるでしょうか。

 

容量市場で発電事業者に支払われるお金のもとになるのは電力小売事業者と送配電事業者から集めるお金(容量拠出金)です。

小売事業者の負担が重くなる懸念から、消費者が支払う電気料金も高くなるのではと心配されています。

実際の支払いは今回オークション対象となった2024年度からなので、すぐに電気料金が高くなることはないと思いますが、せっかく時間があるため価格転嫁が起こらないような仕組みづくりを考えていく必要があるでしょう。

 

またオークションは電力を実際に使用する年度の4年前に行われることとなっているので、来年以降も同様に実施されると考えられます。

今回の結果を検証し、来年以降の制度設計に役立てていくことを期待しています。

 

同時に電力のエンドユーザーである私たちも、複雑な仕組みの理解に努めつつ、適切な市場設計がされているか、また環境への配慮がされているかといったことを考えてみるのが良いでしょう。