国会は難局打開へさらに役割を果たせ
記事本文
要約
感染防止と経済再生、国際協調に向け一層政治は汗を流す必要がある。
感想
昨日、臨時国会が事実上閉幕(期間は6日までのため)しました。
菅総理は国会を閉じるにあたって、記者会見をしています。
記者との質疑応答を読んでいて、ふと「国会で説明をしている」「これまでもお答えしている」という返しは、なんだかYoutuberっぽいなと感じました。
というのも、例えば普段からゲームの解説動画を出している配信者が、生放送で視聴者から質問をされた時に「こうした動画を出しているのでよろしければそちらを参照してください」という応答をする様子に似ていると思ったからです。
ただ、生放送の際は一言で簡潔に説明して、詳しくは動画でと言ってもらった方がこの人頭いいな、となりますね。
その一言の説明が誤解を招くような言い方になってしまうと、あらぬ批判を受けることにもなりかねないので難しいところではありますが。
また私が毎日チェックしている官邸HP(総理の一日)を見たところ、昨日国会の閉幕とともに、経済財政諮問会議が開催されていたことを知りました。
そこで来年度予算に向けた「予算編成の基本方針」についての議論がありましたが、資料を読んでいる時に気になる文言を発見しましたので引用します。
令和3年度予算編成の基本方針(案)(抄)
我が国財政は、国・地方の債務残高がGDPの2倍を超えて膨らむ見込みであるなど、引き続き、厳しい状況にある中で、「経済あっての財政」との考え方の下、「経済財政運営と改革の基本方針 2020」(令和2年7月 17 日閣議決定。以下「骨太方針 2020」という。)に基づき、経済・財政一体改革を推進することとし、デフレ脱却と経済再生の道筋を確かなものとしつつ、歳出・歳入両面からの改革を推進する。
「経済再生なくして財政健全化なし」という言葉は前政権で頻繁に使用されており、国民も馴染み深いフレーズかと思いますが、この「経済あっての財政」という言葉は初めて聞いた気がします。
調べてみるとこのキーワードが登場したのは今年4月20日、当時まだ官房長官であった菅氏が会見で「経済あっての財政再建であり、感染拡大を防いでこの難局を乗り切り、何としても経済を回復させる」と発言したことに端を発しているようだということがわかりました。
今年7月の骨太方針にはこのフレーズはなく、いつもの「経済再生なくして財政健全化なし」という言葉が盛り込まれていたため、おそらく菅氏が独自カラーを打ち出そうとしているのではないかと推察します。
「経済再生なくして~」は二重否定で強い印象を持ちますが、「経済あっての~」は簡潔ではありますが、ちょっと弱い印象を受けます。
こうしたことも、印象深い決まり文句やキャッチフレーズを多用した「仕事人内閣」の前政権と比べ、実直な、ともすれば面白みに欠けると批判されかねない「国民のために働く内閣」としての現政権の特徴を表しているようにも思えます。
総理就任時の施政方針演説でも、テキストマイニングでそうしたことを調べてみました。
先月25日に公表されている予算編成に向けた財務省の建議(次の予算はこんな考え方でつくってねという有識者からのお願い)の方が、むしろ面白いフレーズが使われていると言えるかもしれません。
令和3年度予算の編成等に関する建議(概要)(抄)
危機的な財政状況にある我が国は、新型コロナ感染拡大防止、経済回復に加え財政健全化という三兎を追い、そのいずれも実現しなければならないという厳しい戦いを強いられる。
「経済再生と財政健全化という二兎」といった死亡フラグビンビンなフレーズは前政権でも使われていましたが、さらにフラグを立てていくスタイルは攻めていますね。
韓非子の「守株待兎」の逸話、またそれをもとにした北原白秋の「待ちぼうけ」のように木の根っこにウサギがぶつかるのを待つのではなく、積極的な政策を期待したいところです。
規制基準を問う大飯原発判決
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要約
再稼働している大飯原発の審査に誤りがあったとの判決は、今後の原発行政に大きな影響を与える。
感想
今月4日、大阪地方裁判所は、福井県大飯原発の再稼働を認めた根拠である基準値震動(想定される地震に原発が耐えられるか)の審査が適切でないとする判決を下しました。
この判決は、先月地元同意が示された女川原発をはじめ、原子力規制委員会の審査には合格したものの、地元の反発が大きく再稼働の見通しが立っていない、柏崎刈羽原発や東海第二原発などの他の発電所の運用計画にも影響を与えるでしょう。
この裁判の判決文はまだできたてほやほやかつ、最高裁ではなく地方裁判所の判決なので一般にHPで読めるのは先になりそうです。
ですがこの判決の争点となった「基準値震動」の「ばらつき」について記載されている国のガイドラインを発見しましたので、該当部分を抜粋します。
基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド(抄)
震源モデルの長さ又は面積、あるいは1回の活動による変位量と地震規模を関連づける経験式を用いて地震規模を設定する場合には、経験式の適用範囲が十分に検討されていることを確認する。その際、経験式は平均値としての地震規模を与えるものであることから、経験式が有するばらつきも考慮されている必要がある。
今回の裁判は原告側がこの「ばらつき」を十分考慮していないとして認可取り消しを求め、裁判所がそれを受け入れた形になります。
原子力規制委員会の判決を受け、審査を受けた側の関西電力は「到底承服できない」とするコメントを出しています。
当社は、2017年12月7日以降、訴訟参加人として、裁判所に対し、設置変更許可処分の前提となる大飯発電所3、4号機の安全性について丁寧に説明を行い、同発電所の安全性が確保されていることをご理解いただけるよう、真摯に対応してまいりました。
今回の判決については、国および当社の主張を裁判所にご理解いただけず、極めて遺憾であり、到底承服できるものではありません。
今後控訴され、大阪高裁で争われることになろうかと思いますが、これが地元の対立を深める方向へ向かうのではなく、カーボンニュートラルの実現に向けどのようなエネルギー計画を立案していくのか、その際原子力発電をどう位置付けるかといった建設的な議論につなげてほしいものです。