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【社説】2021年2月2日:許されぬミャンマー国軍のクーデター/自粛せずに自粛を求めるな

許されぬミャンマー国軍のクーデター

記事本文

www.nikkei.com

要約

軍政に回帰しようとするミャンマーのクーデターに、日本も断固反対すべきだ。

感想

今月1日、ミャンマーで国軍によるクーデターが起こり、アウン・サン・スー・チー国家顧問ら政権与党の幹部を拘束しました。

日本からは茂木外務大臣も懸念を示す声明を発表しています。

本日(2月1日)、ミャンマーにおいて、緊急事態が宣言され、民主化プロセスが損なわれる事態が生じていることに対し、重大な懸念を有している。また、本日拘束されたアウン・サン・スー・チー国家最高顧問を含む関係者の解放を求める。

 

なぜこんなことが起こってしまったのでしょう。

ミャンマーでは昨年11月に総選挙が行われ、アウン・サン・スー・チー氏率いるNLD(国民民主同盟)が圧勝したことを不服とし、今回軍がクーデターを起こした格好です。

platon.hatenablog.jp

 

11月の選挙に不満を持った側が力によって現状変更をしようと試みるのは、つい先日のアメリカ連邦議会議事堂占領事件と重なる部分がありますね。

platon.hatenablog.jp

 

ミャンマー国軍は選挙に不正投票があったと訴えていますが、真偽は不明です。

大統領選挙の時期は、アメリカのみならず日本でもSNSを中心に真偽不明の情報が飛び交っていましたが、もしかするとミャンマー国軍も同じような状況にしようと考えているのかもしれません。

 

しかし、今回はミャンマー国民が不満を持って自ら行動したのではなく軍が国民を焚きつけようとしており、アメリカのような国民の間で分断が起きる事態になるとは考えづらく、軍と国民の対立構造になるのではないでしょうか。

 

なお、軍は2008年のミャンマー憲法に従って行動しているとしていますが、大統領を拘束し副大統領を大統領代行に担いで非常事態宣言を出させ、軍が支配権を握るという無理やりな手法を使っています。

ミャンマー憲法

第417条

大統領は、国家主権を暴動、テロ等の非合法かつ強制的手段を用い奪取しようとする企てが存在する場合、又は、連邦・国民の分裂及び国家主権の喪失を引き起こす緊急事態が発生した場合もしくは右が発生するであろうと判断する十分な理由がある場合、国防・治安評議会と協議の上、大統領令を発出し、国家緊急事態を宣言することが出来る。大統領令には、大統領令が国家全土に法的効力を及ぼし、その公布日より一年間法的効力を有する旨、規定しなければならない。

第418条

1 大統領は、第417条の国家緊急事態を宣言する際、国軍司令官が国内の速やかな原状回復に向けた必要な措置を取れるよう、立法・行政・司法の各権を国軍司令官に委譲する旨宣言しなければならない。その宣言がなされた日をもって、すべての議会は立法機能を停止し、議会は自動的に解散したものとみなす。

2 憲法に基づき議会の承認を得て任命された組織及び自治地区・地域の指導組織に所属するすべての関係者は、大統領及び副大統領を除いて、国権が国軍司令官に委譲された日をもって、職務を停止されたものと見なされる。

www.mmtimes.com

 

この憲法には非常事態に国軍司令官が国民の基本的権利を制限できる規定が盛り込まれているなど、かなり強権的な匂いが感じられます。

 

こうした国家の危機に対して独裁的な権力を与える仕組みは、共和制の古代ローマにおける「ディクタトル(独裁官)」が思い出されます。

かの有名なジュリアス・シーザー、またの名をユリウス・カエサルは、晩年に終身ディクタトルを名乗り、永久に独裁権を握るとしたため、元老院などの反発を招き腹心のブルータスに裏切られてしまいました。

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ヴィンチェンツォ・カムッチーニ「カエサルの死」

ローマでは奇しくもカエサルの死後、アウグストゥスによる帝政時代が始まることとなりましたが、現在はあれから2000年以上も経っています。

長年の人類の英知を活用し、暴力による反乱ではなく、理性を持った対話によって民主化を進めてほしいものです。

 

自粛せずに自粛を求めるな

記事本文

www.nikkei.com

要約

国民に負担をお願いする以上、政治家も自らを省みるべきだ。

感想

本日にも緊急事態宣言が3月7日まで延長される見込みとの報道もあるなか、副大臣などの与党議員が銀座で夜の会合を開き、離党する事態となりました。

菅総理会見(2021年2月1日)

(田野瀬文部科学副大臣の更迭及び政治の信頼回復について)

 緊急事態宣言下の中で、深夜まで会食して、また今日まで明らかにしませんでした。そうしたことを受けて、田野瀬文部科学副大臣を更迭いたしました。また、松本議員、大塚議員、田野瀬議員に対して、自民党から離党勧告があって、3人とも離党したということであります。それと同時に、国民の皆さんにこれだけの御無理をお願いしている中で、政治家自ら襟を正さなければならない、そういう意味においては、こうしたことは誠に遺憾だと思います。私から改めて国民の皆さんにお詫(わ)びを申し上げたいと思います。

(総理の会食について)

 私の時は大変申し訳ない、このように思っています。

(田野瀬文部科学副大臣の処分について)

 緊急事態宣言、今出ております。そういう中で、そういう行為があった上に、今日まで明らかにしなかった、そうしたことを踏まえて判断しました。

(坂本大臣の会食について)

 そこについては、しっかりしたルールの下に行われたと、こういうふうに理解してます。

感染拡大の防止に向けて、新型コロナ特措法改正案は本日参議院で審議入りし、明日成立する見込みです。

www.shugiin.go.jp

政治家は国民の代表ですから、こうしたことで政治不信が広がってしまうと民主政治の根幹が揺らぎかねません。

「自分がもし感染していたら」「会う相手がもし感染していたら」「周囲の人がもし感染していたら」といった考えを(負担に押しつぶされない範囲で)常に頭の片隅に置いて行動することが大切だと思います。