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【社説】2021年1月9日:国際慣例に反し理解しがたい慰安婦判決/イランは核の緊張を高めるな

国際慣例に反し理解しがたい慰安婦判決

記事本文

www.nikkei.com

要約

協定締約済みの元慰安婦問題で賠償を求める判決は、国際法上受け入れがたい。

感想

韓国の中央地方裁判所が今月8日、元従軍慰安婦に対して日本が原告1人あたり1億ウォン(約950万円強)を支払うよう命じる判決を下しました。

news.yahoo.co.jp

これに対し、菅総理をはじめとする政府関係者は「認められない」と反発しています。

 まず国際法上、主権国家は他国の裁判権には服さない。これは決まりですから、そういう中でこの訴訟は却下されるべき、このように考えます。そして、日韓の慰安婦問題については、1965年の日韓請求権協定において、完全かつ最終的に解決済みである。ですから、韓国政府として国際法上違反を是正する、そうした措置を採ることを強く求めたいと思います。
 我が国としては、このような判決が出されることは、断じて受け入れることはできません。

www.kantei.go.jp

 

韓国政府が司法をたしなめるように日本政府は働きかけていくものと思われますが、なかなか上手くは進まない気がします。

似たような事例で、元徴用工問題では韓国の最高裁判所である大法院の判決を、文政権が「司法の判断であるから、そこに行政が介入しないのが民主主義国家の根幹」としており、いまも膠着状態になっています。

platon.hatenablog.jp

 

菅総理も語っている国際法上ではこれまでの経緯として、国家は外国の裁判所の判決を免除(絶対免除主義)されてきましたが、19世紀末ごろから貿易が活発化する中で、国の商業的な行為に対しては免除を認めない(制限免除主義)とする考え方が採用されてきました。

しかしその線引きが曖昧であったため、国際的なルールづくりが行われ、2004年の国連総会で「 国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約(国連国家免除条約)」が採択されることとなりました。

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出典:外務省

この条約には日本も2007年に署名していますが、発行に必要な30か国が集まっておらず(2021年1月現在:28か国)未発効状態です。

もっと早くに発効していれば、今回のような問題の発生を未然に防げていたかもしれませんね。

 

日本政府側は、すでに基金などで被害者には賠償金の支払いもしており、1965年に締結した協定でも解決済みとしているという立場を繰り返し表明しています。

「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」(1965年12月18日発効)

第二条

1 両締約国は,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が,千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて,完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
(中略)
3 2の規定に従うことを条件として,一方の締約国及びその国民の財産,権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては,いかなる主張もすることができないものとする。

www.mofa.go.jp

 

もちろん、こうした歴史があったということを忘れずに、今後同様のことを自分たちの国だけでなく、外国にもさせないように教訓としていくことは非常に重要であると考えます。

いたずらに国民同士の対立感情を煽るようなことをせず、より良い世界のために手を取り合って協力できる日が来ることを祈っています。

 

イランは核の緊張を高めるな

記事本文

www.nikkei.com

要約

合意を破り核開発を進めるイランに対し、米次期政権の手腕が試される。

感想

2015年、イランと6か国(常任理事国(アメリカ、フランス、ロシア、中国、イギリス)+ドイツ)との間で核合意が結ばれました。

これはイランが持つウランの濃縮度や貯蔵量などを厳しく制限し、従えば経済制裁を解除するものです。

 

しかし、2018年にトランプ大統領が一方的に合意から離脱し、イランへの経済制裁を再開したことで対立が先鋭化してしまいます。

その後のイランは相次いで核合意を破っており、今回の核開発もその延長線上という側面があるでしょう。

またイラン側は西側諸国に対し、経済制裁をやめるよう求めています。

en.mehrnews.com

 

今月、アメリカでは政権交代が行われる予定ですが、バイデン氏が対イラン政策をどのように展開するか、その姿勢を試すために核開発を進めるそぶりを示しているのではないかと思います。

イランはアメリカやイギリスからのコロナワクチンの輸入を中止し、代わりに中国やロシア、インドなどから輸入を検討するという話も出ており、国家間の対立が国民の不利益につながりかねないと心配しています。