税金の無駄遣いをどう減らすべきか
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要約
行政事業レビューの在り方も考えるべきだ。
感想
今月12~15日の期間で、国の担当者と有識者が事業の有効性などを議論する秋の行政事業レビューが行われています。
毎年行われており、今年は感染症対策のため一般傍聴はなく、ニコニコ生放送やYoutube上で見ることができます。
レビューのスケジュールは以下の通りです。
こうした取り組みは、事業がきちんと行われているか、また税金の無駄遣いがされていないかを一般に知ることができる良い機会だと思います。
同時に、政府側からすれば有識者からの突っ込みに耐えうるだけの理論武装をする必要があるため、国会議員に追及された場合に備えた練習となったり、国民の認知度が低い事業の広報の場として活用することもできるでしょう。
一方、行政を評価する仕組みとしては他にもいくつかあり、例えば公正取引委員会は毎年各省の決算を点検し、総理に検査結果を提出しています。
▼公正取引委員会の検査についてはこちら
また総務省の行政評価局では政策評価が行われており、効果的・効率的な行政の推進を目的として制度が運用されています。
歴史的には公正取引委員会が戦後に生まれ最も古く、総務省の前身である総務庁、さらにその前身である行政管理庁も同様に戦後新設されていますが、今のような政策評価制度が行われるようになったのは平成14年からです。
この中ですと行政事業レビューが最も新しく、旧民主党政権で行われていた「事業仕分け」を衣替えする形で平成25年から始まっています。
政府の施策では似たような取り組みが林立することもしばしばですが、細かい所管が異なっていたり(国民にとっては大差ない)、一方の歴史が長かったりする場合なかなか一本にまとめたり、施策を廃止したりということは難しいようです。
ましてや政策評価をする、行政の無駄をなくすための組織や取り組みを廃止するのは、普段「税金の無駄遣いをやめよ」と語る国会議員やメディア、国民からの反発も予想され、相当なエネルギーが必要になると思われます。
しかし本来は、そもそも行政の無駄が出ないように予算を編成、執行するべきであり、政策評価の制度が無かったとしても事業を行う省庁自ら点検・改善するのが筋でしょう。
さらに国民に対して十分な情報を公開し、それに基づいて国民が理性的に判断、問題があれば追及していく仕組みをつくることができれば、より良い行政、並びにより良い国づくりを国民が協力して進めることが可能になるでしょう。
そんな社会が訪れることを夢見ています。
見極めたい新ワクチンの効果
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要約
新ワクチンの有効性をしっかりと検証し、運搬や接種方法も考える必要がある。
感想
現在、世界中の企業や大学、研究機関などが新型コロナウイルス感染症に対抗するワクチンを開発しています。
そんな中、アメリカ製薬大手のファイザーが治験で9割以上の対象者に予防の効果が表れたと発表し、先行きの見通しが改善したと受け止められ、世界で株高が進みました。
ファイザーHPより引用
The case split between vaccinated individuals and those who received the placebo indicates a vaccine efficacy rate above 90%, at 7 days after the second dose. This means that protection is achieved 28 days after the initiation of the vaccination, which consists of a 2-dose schedule.
ざっくり翻訳:ワクチン投与した人としてない人を比べたら9割以上の有効性があったよ。ワクチンは2回に分けて投与するんだけど、1回目と2回目は3週間空けるから、1回目の28日後、つまり2回目の7日後には効果が表れるってことなんだ。
▼ワクチン開発進展やバイデン氏当確による株高についてはこちら
なお、日本政府はすでにファイザーから来年6月までに、1億2000万回分(6000万人分)のワクチン供給を受けることで合意しています。
ちなみにアストラゼネカからも同様にワクチン供給を受ける予定であり、ファイザーと合わせることで1億2000万人分、国民全員に行き渡る見込みとなっています。
このワクチンですが、「mRNA(メッセンジャーRNA)」を利用してつくられているそうです。
まったくわからなかったので調べてみると、どうもDNAに関連する機能のようです。
DNAは遺伝子情報を持つ二重らせん構造の物質であることは有名ですが、正式名称はdeoxyribonucleic acid(デオキシリボ核酸)と言うそうです。
対してRNAはribonucleic acid(リボ核酸)と呼ばれ、それぞれデオキシリボースを持つ核酸、リボースを持つ核酸という分子となっています。
DNAは生命に必要なたんぱく質を合成するための設計図として機能していますが、設計図だけではものづくりはできませんよね。
そこで必要になるのがmRNAです。
たい焼きで例えると、まず元になるたい焼きがDNAです。
そしてたい焼きの型をとり、焼き型となるのがmRNAです。
その後たい焼きの型(mRNA)に材料(アミノ酸)をたい焼き職人(tRNA、トランスファーRNA)が流し込み、DNA通りにたんぱく質がつくられる、という流れになります。
下記サイトでたい焼きづくり、もといDNAの複製が映像でわかりやすく説明されています。
このうちDNAからmRNAへ転写されるメカニズム(たい焼きから焼き型をつくる仕組み)については、理化学研究所の横山茂之特別招聘研究員らが解明しています。
分子生物学のバイブル「Molecular Biology of THE CELL」にも上記の研究成果が載っているようです。
ファイザーの新ワクチンの仕組みは以下の図の通りです。
まずコロナウイルスの周囲の突起を構成する遺伝子配列を解読し、そこからmRNAを作成、LNP(脂質ナノ粒子)の袋に詰めて人間の細胞に投与します。
投与されたmRNAに従ってコロナウイルスのたんぱく質がつくられ、免疫がつくという流れです。
このワクチンが画期的なのは、今後新たな感染症が発生した場合でも、同様にmRNAをつくればすぐにワクチンが作成できる可能性があるということです。
たい焼きで例えると、新しい焼き菓子が流行ったとしてもすぐに構造を見抜き焼き型をつくることが出来れば、対抗して売り出せるようなものでしょうか。
今回の報道で、生命科学の偉大さと神秘を感じました。
と同時に、たい焼きも食べたくなりました。ちなみにこしあん派です。