苦境の航空産業が進むべき航路は
記事本文
要約
航空産業が赤字を広げており、公的資金投入も考えるべきだ。
感想
コロナ禍の移動制限により、航空会社は悲鳴をあげています。
国際線はもとより国内線も減少するなか、航空産業は固定費が高くつくため、赤字が拡大しやすくなっています。
国内航空大手2社はそれぞれ第二四半期(7月~9月)の決算説明会を今週開いており、27日にANA、30日にJALが行いましたが、そこで発表した今年度の業績予想は非常に厳しいものとなっています。
ANAは5100億円、JALは2400~2700億円の最終赤字を計上する見通しです。
各社は固定費削減のために様々な方策をとっており、路線や人件費を減らすよう努めています。
世界各国の航空会社も同様に危機を迎える中、国際航空運送協会(IATA=International Air Transport Association)は27日、声明を発表しました。
この声明の中でも、非常に厳しい状況であることに言及しており、数か月の景気後退ではなく1年以上にわたる需要の落ち込みを予測しており、さらに来年からは燃料価格の上昇も見込まれるそうです。
IATAは政府部門に対して公的資金の注入や、システム化により出発前の検査を安全で正確なものとすることで、現状の検疫なしで国境を往来できるような仕組みづくりを求めています。
また同日、IATAは世界の航空業界の見通しを示しています。
これを読むと、今年の航空需要は昨年から66%減少すると見込まれ、航空会社がコスト削減をしても需要の減少に追いつかないとしています。
航空会社が破綻した場合、産業の裾野は広く、関係者にも影響が及びます。
JALが2010年に経営破綻し、3500億円の公的資金を受けて経営の立て直しを進めたのは記憶に新しいですが、その際の負債総額は約2兆3200億円でした。
現時点ではANA、JALともに負債は1兆円余りとなっていますが、先行きに霧がかかっており、見通しは悪天候が続いています。
乱気流に飲まれて墜落してしまうのか、それとも解決策を見つけ出してソフトランディングできるのか、岐路に立たされています。
航空業界と政府が機長・副機長となり、協力して問題に立ち向かっていくべきでしょう。
政権目標への道筋が知りたい
記事本文
要約
国会での代表質問は迫力に欠け、具体的な道筋が不明瞭だった。
感想
今月26日に臨時国会が開会し、菅総理の所信表明演説の後、衆参両院の各党代表質問が行われました。
所信表明演説については、以前にも取り上げています。
この時もテキストマイニングを交え「演説が印象に残りにくい」と分析しましたが、代表質問での答弁も同様に、淡々と読み上げ隙が無いような、悪く言えば注目をあまり集めないような言葉選びをしているように感じました。
得てして政治家というものは、安倍前総理のように「一億総活躍社会」「三本の矢」といったキャッチーな言葉を使うと多くの人が注目し、賛意も批判も集まりやすくなります。
一方菅総理のように堅実な政治姿勢は、目立たないものの批判の矛先を見つけるのも難しいでしょう。
前回の衆議院選挙は2017年10月22日であり、仮に解散がなくとも4年ごとに改選が行われるため、来年には選挙が行われる見込みです。
また菅総理は自民党総裁として、安倍前総裁の残り1年の任期を引き継ぐ形で就任したため、2021年9月には再度総裁選が行われる予定です。
もしも菅総理が来年の総裁選を制し、衆議院の選挙でも勝利した場合、党総裁任期の3年間が菅総理の任期にプラスされ、2024年まで総理の椅子に座り続けることも考えられます。
菅氏は選挙で自民党としての国民の信任は得ているものの、総理として国民に選ばれたわけではありません。(※総裁選では都道府県によって党員による予備選挙が行われたところもありましたが、自民党員限定です)
総選挙で総理としても国民の信任を得て、長期政権を担う地盤が整ったところでキャッチーな言葉を使い、政権目標へのロードマップを打ち出すという心づもりもあるかもしれません。
来年のことを言うと鬼が笑うと言いますが、今年もあと2ヶ月です。
最近話題となっているアニメのボス鬼と総理が似ているという噂もあるとかないとか。
来年を見据える総理の「鬼」の目には、いったいどんな景色が映っているのでしょう。