技術革新に挑み成長につなぐ脱炭素に
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要約
脱炭素社会の実現に向けた道筋が経済成長に資することを願う。
感想
菅総理が就任演説で語っていた大きな2つの方針である「デジタル化」と「グリーン社会」。
昨日25日、政府は後者を実現するための政策である「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
電力需要は今後も増大していくことが見込まれており、脱炭素化に向けては発電の大部分を占める火力発電において、二酸化炭素排出量を減らす取り組みが必要になります。
その一つの手段として、アンモニア(NH3)をうまい具合に燃焼させることで有害物質の窒素酸化物(NOx)の発生を減らし、水素(H2)を代わりに発生させるという日本の研究も進んでいます。
今回のグリーン成長戦略には研究開発のための基金や企業向けの税制優遇措置も盛り込まれており、産官学が一体となって行動していくことが期待されます。
「持続可能な開発目標(SDGs)」という言葉もあるように、これまで経済成長と環境保護はトレードオフの関係にあるものと考えられていた節があるでしょう。
これからは「経済成長なくして財政健全化なし」になぞらえて、「環境保護なくして経済成長なし」というアプローチの仕方になるかもしれません。
いつになるかは不明ですが、来年の衆院選でキャッチコピーとして使ってもいいですよ。
安倍氏の道義的責任は重い
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要約
自民党は安倍政権下で噴出した政治と金の問題に真摯に向き合うべきだ。
感想
安倍前首相が東京地検特捜部の任意の事情聴取を受けたことについて、先日も記事を書きました。
そこでは「政治資金規正法違反」と「公職選挙法違反」の疑いがあると考えていましたが、検察は同氏の公設第一秘書を「政治資金規正法違反」の容疑で略式起訴することとなりました。
「略式起訴」とは以下の条件を満たす場合に可能となる手続形式です。
- 簡易裁判所で裁かれる
- 百万円以下の罰金の犯罪
- 被疑者(裁かれる人)に反論がない
メリットとしては公開裁判が行われることなく、したがって身柄の拘束期間も少なくスピーディーに処分が決定される点です。
デメリットとしては、不服の申し立てができない点でしょうか。(そもそも反論がある場合は裁判で争うべきですが)
ちなみに略式起訴の根拠条文は、刑事訴訟法に記載があります。
第六編 略式手続
第四百六十一条 簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
なお略式起訴という形式は刑事事件を対象としていますが、民事事件でも簡易裁判所で迅速な解決を目指すことができます。
民事事件で簡易裁判所を使う条件としては、争う目的物(貸したお金や賃金など)が140万円以下の場合であり、60万円以下の場合はさらに早い「少額訴訟」を利用することもできます。
第八章 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則
(手続の特色)
第二百七十条 簡易裁判所においては、簡易な手続により迅速に紛争を解決するものとする。
今回は罰金100万円ということで略式起訴で秘書が裁かれることになりました。
なお即日罰金支払い、即日秘書解雇となったそうです。
公職選挙法違反(寄付の疑い)の方は、検察によると「参加費より豪華なパーティだったという認識が参加者になかった」として、不起訴となっています。
おそらく来年の通常国会でも追及されることになるでしょうが、検察が不起訴処分を下したことで、これ以上深く突っ込むのは難しいかもしれません。
むしろ、こうしたことが今後起こらないよう制度改正に向けた建設的な議論がされることを期待しています。