中国の長期計画が起こす摩擦が心配だ
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要約
中国の経済運営計画によって国際経済に軋轢が生じないか心配だ。
感想
70年前の1950年10月25日、中国は朝鮮戦争に参戦し、韓国を助けるアメリカに対抗し北朝鮮を助けて戦いました。
その70年前のスローガンが「抗米援朝(中国語では抗美援朝)」であり、習近平国家主席はこの言葉を演説でも多用することで、中国の発展に向けた人民の団結を促しています。
また朝鮮戦争参加70周年に合わせ、中国では抗米援朝をテーマにした映画「金刚川」の上映が今月23日から始まっています。
また22日からは、中国人民銀行によって記念硬貨の発行もされているようです。
中国版TwitterのようなSNSであるweiboでは、映画の感想とともに「#抗美援朝」というハッシュタグのつぶやきも散見されました。
そんな中国ですが、この度中央委員会全体会議において、2035年までの国家運営方針や、新たな五か年計画による今後の目標を発表しました。
内容については外交声明である「コミュニケ(元はフランス語のCommuniqué)」で発表しているらしいのですが、それが掲載されているという中国国営メディア新華社通信のHPで探したところ、コミュニケ本体の場所がわからず英語での概要説明しか見つかりませんでした。
念のためweiboでも探してみましたが、中国共産党中央委員会の機関紙である人民日報がつぶやいているこれ↓がコミュニケなのでしょうか。
英語の概要も参考にすると、中国は2035年までに社会主義の近代化を果たし、一人当たりGDPは中程度の先進国レベルに達するそうです。
また今後5年間の計画についても発表しています。
社会主義市場経済はさらに改善し、高水準の市場システムの構築を完了するそうです。
思うに、中国がアメリカに追いつくにはより多くの留学生を世界中から受け入れることが必要なのではないでしょうか。
アメリカはハーバードをはじめとするアイビーリーグや、西海岸のスタンフォード大学、カリフォルニア大学などで最先端の技術や経営を学ぶために世界中から留学生が集まっています。
大学等の高等教育機関への外国人留学生の受け入れ数では、米国が約97万人と、2位の英国の2倍以上で圧倒的首位となっています。
一方中国も2010年に「留学中国計画」を策定し、2020年までに初等・中等教育を含めた留学生受け入れ数50万人の目標を掲げています。
その後留学生数は増加していますが、高等教育ではまだ15万人ほどで、日本と同程度です。
一方中国から他国へ留学に出る学生数は人口の多さもあり世界一位で、約90万人の学生が世界で学んでいます。
アメリカの名門大学卒業生たちはシリコンバレーのIT企業に入ったり、米企業で活躍することが多いように思います。
自国に戻って就職する場合でも、米国文化や英語に精通しているため、関連の職務にあたることも少なくないでしょう。
中国も北京大学や清華大学など、世界大学ランキングで上位に入る大学もありますが、アメリカに比べると多様性があるかは疑問です。(これは日本にも言えることですが)
今後もしも中国国内、あるいは中国の政治体制に賛同する国の出身者だけで優秀な学生を賄おうとなった場合、多様性という観点からはアメリカに劣るのではないでしょうか。
とはいえ、アメリカも米大統領選をきっかけとして国内の分断が深まっており、難しいところです。
多国間貿易をリードする立場として日本が役割を果たすことが最近求められていますが、こうしたアカデミックの世界でも日本が国際協調を促せるようになるといいですね。
「徴用工」から日韓を動かそう
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要約
日韓関係改善に向けて元徴用工と通商問題の解決に動くべきだ。
感想
2年前の10月30日、韓国大法院(最高裁)が戦時中の強制徴用被害者らに対する賠償を日本製鉄(当時の新日鉄住金)に命じ、外交問題に発展しています。
判決から2年がたつのに先立ち、両国外務省による局長協議が今月29日、韓国ソウルで開かれました。
外務省によると、日本側の立場を伝え、受け入れ可能な解決策を韓国政府が示すよう求めたところ、韓国側の立場を説明され、今後も意思疎通を継続するということで終わったそうです。
日本側の立場に関する情報は様々なメディアで報じられ、日本語で読むことができますが、韓国側の立場を知りたかったので韓国外交部HPで探したところ、下記ページ中央下の「Issue of Forced Labor」に文書やインタビュー、会談内容が掲載されていました。
これを読むと、韓国側の立場としては「司法の判断であるから、そこに行政が介入しないのが民主主義国家の根幹」のように見えます。
他にも1951年のサンフランシスコ平和条約や、1965年の日韓請求権協定にも言及されていますが、これ以上は立ち入らないこととしておきます。
日韓関係は貿易を通じた経済においても、また対北朝鮮という意味でも重要な関係です。
両国ともにこの問題で消耗していくのは得策ではなく、また国民感情を煽ることも解決には結び付きません。
中国がアジアで影響力を強めるなか、日韓双方も手を携えることで経済のみならず、理性の上でもアジアが世界で一目置かれる存在になる未来を願っています。