多様な家族の力を生かせる社会に
記事本文
要約
コロナ禍で変化した日常を受け入れ、新たな個人や家族のあり方を考える必要がある。
感想
昨年から続く感染症対策として、世の中ではソーシャルディスタンスが求められています。
在宅勤務をはじめとするテレワークや、多人数で集まらずにオンラインで講義を受けたりプライベートな飲み会を開いたりすることが増え、個人主義が思想のみならず、実生活にも急速に広がったと言えるでしょう。
家族と一緒に暮らしている場合は常に同じ人と接し、自分のように一人暮らしをしている場合はいっそう一人でいる時間が増えることになります。
両方に共通するのは、新しい刺激や自分と異なる考え方に自然と触れる機会が減ってしまうおそれがあるということです。
以前は学校や職場などのコミュニティで、多かれ少なかれ他人と強制的にコミュニケーションをとる機会があったと思いますが、在宅勤務や外出自粛をしていると家に閉じこもることになり、そうした対話も減ってしまいます。
「年末年始は普段一緒にいる人と過ごして」と政府もお願いしているため、感染対策を進めていくことで思考が袋小路に入ってしまいかねません。
インターネットや検索アルゴリズムの発達によって、自分が興味を持つ情報にしか触れられなくなる「フィルターバブル」や、同じ考えを持つメンバー同士の主張が閉鎖空間内で増幅する「エコーチェンバー」といった現象が起きていると耳にします。
感染対策で他者と関わる機会が減ったこともあいまって、そうした膨張が速まっているのではないかと思います。
日常的にネットに触れていると、偏った考えが跋扈する空間に迷い込んでしまうこともあるでしょうが、テセウスのように迷宮からいつでも脱出できるよう、アリアドネの糸をしっかりと掴んでおくことが大切でしょう。
アリアドネはテセウスと結ばれることはありませんでしたが、ディオニュソスに見初められ、家族になりました。
様々な家族のかたちを受け入れ、多様な考え方を柔軟に取り入れていくことが、私たち一人ひとりにとっても大事なことだと思います。