放浪の数日間、東京にさよならを
はじめに
さて、今回はこちらの記事の後半です。
なんのこっちゃという方はもしよければどうぞ。
引きこもりから外へ出たところからスタートです。
放浪の途
一人暮らしで住んでいた借家の引き渡し予定日の朝、5時頃に家を出ました。
リュックに数日分の着替え、モバイルバッテリーやタブレット、働いていた時に交換した名刺(残しておくと他の人に迷惑かかるかも、と考えた)、大学の卒業証書、資格の合格証などを詰め込みました。
本棚の中から以下の三冊だけ抜き取り、他の本は置いていきました。
- プラトン「ソクラテスの弁明/クリトン」
- セネカ「生の短さについて」
- 星新一「ボッコちゃん」
どれも文庫本で薄くかさばらなかったことが大きな理由ですが、プラトンは「クリトン」を青空文庫で読んだことが彼の著作を読むきっかけになったこと、セネカは文庫本に付箋が貼ってあったので、最期に読み返すのもいいかなと思ったこと、星新一はスマホが充電切れ等で使えない状況になった場合、軽く読めて楽しめる娯楽目的としてそれぞれ選びました。
結局どれも放浪中に読むことはありませんでした。
本棚から三冊だけ選ぶなら何を持っていく?という質問は、相手の考え方や人となりを知るのにちょっと面白いかもと思います。
気持ちが安定してくると、苦しかった時の記憶が薄れてしまうんですよね。
なので、Google mapを見ながら振り返り、思い出しながら綴っていきます。
さて、放浪一日目。
まずどう死ぬか?ということを考え、自宅は失っているため、街か山か海と考えました。
このうち街は、例えばビルの上から…または駅で…という感じでしょうか。
想像してみたのですが、人が多そうだな、何かしら会話が発生しそうだな、ということでコミュ障を発揮してやめました。
見ず知らずの人たちに見られながらって、なんか嫌だな。と思いました。
次の候補は山です。
とはいっても自分が住んでいた東京から山というと、電車を乗り継いで行かないといけなさそう、山を登ったり森に入ったり面倒そう、何より暑そう。
一人で山の中で終わるよりも先に、熱中症で道半ばで倒れて中途半端に助かるんじゃないかと思って、山もやめました。
最後が海です。
自分は水泳をしていたことがあり、海は結構好きなんですよね。
気候も夏モードで海日和だったので、海に入ろうと決めました。
東京から海。
どこに行こうかなと考えたとき、お台場の海が思い浮かびました。
昔、レインボーブリッジを徒歩で渡ってお台場の海に行ったことがあったなと。
よし、お台場に行こう。
ついでにまだジョイポリスはやってるか、見に行こうと考えました。
一日目
さて、お台場の海を終の場所に決めましたが、家を出たのは早朝。
日中は人がいるかもと思い、なんとなく夜の海に入ろうと考えてました。
では日中に何をするか?行きたいところに行こう。
そう考え、秋葉原に降り立ちました。

とりあえず秋葉原に行く。オタクの習性でしょうか?
秋葉原、昔から好きな街です。
余談ですが、自分は中学2年生ごろにクラスの友達から東方永夜抄というPCゲームを貸してもらい、見事にはまり、ほどなくしてニコニコ動画とニコニコ組曲に出会い、オタクの道へと入りました。

秋葉原に着いた後は、ゲーマーズやアニメイト、ヨドバシやラジオ会館などをぶらぶらと周りました。
秋葉原を夕方に出て通っていた大学に立ち寄り、将来の日本を頼んだ、という気持ちで後輩たちを眺めお台場へ向かいました。
レインボーブリッジは無料で渡れるところがいいのですが、いかんせん距離が長くて疲れます。
体力の衰えを感じながら、夕焼けの空を横目に歩き続けました。

ひーひー言いながらお台場に到着すると、同じように考えているのか(?)自分の他にも砂浜に一人で座り込む人を見かけました。
そのまま夜まで待とうと、海と空を見ながら砂浜に寝ころび、ゆったりとした時間を過ごしました。
途中、近くを歩いていたカップルがこちらを見て「漂流してるんだけどw」と話しており、彼らの楽しい思い出の一ページを演出する場面もありました。
暗くなってくるとバシャバシャと音がして、そちらに注意を向けると海辺で上半身裸になり、体を洗っている人がいました。
まさかと思い、目を凝らしてしまいました。
普通のおじさんでした。
海に入る先達も現れたところで、さらに夜が更けるのを星を見ながら待ちました。
とはいえお台場は都市の明かりが強く、かすかな星の光がまばらに見える程度でした。
時間がたつにつれ、思惑とのずれが露呈してきました。
当初の想定では深夜、人がいなくなったお台場の海に入水するつもりでしたが、夜になってもやけに人が多いのです。
海辺で花火を始めるグループもいました。
そして夜10時、11時を回っても、人が減る気配がありません。
カップルの割合が多かったので、おそらくお台場デートの最後、ディナーの後に砂浜へと繰り出し、この後どこへ行って何をするか、関税交渉のようなタフなネゴシエーションが繰り広げられていたものと推察します。
ここでいきなり海に入って怖がらせるのも面白いかなと考えたのですが、さすがにその度胸はなく、彼らがディールを勝ち取っている(あるいは、ひっくり返されている)様子を大人しく見ていました。
結局この日は、お台場の海辺で夜を明かしました。
二日目
一日目を砂浜で終えましたが、質の良い睡眠はとれず、また前日久々に長時間歩いたため、体がバキバキでした。
足も筋肉痛になっていたため、レインボーブリッジの復路を徒歩で行くことは諦めて電車を使うことにしました。
スマホやタブレット、ポケットwifiの充電が少なくなっていたので、早朝から営業中の電源のあるカフェを探しました。
幸い朝6時半からやっているカフェ(PRONTO 新橋駅前店)があったので、そこに向かいモーニングセットを注文しました。
コンセントがある席で充電しつつ、体の疲れを取りながらお昼ごろまで滞在しました。
お昼になるとお客さんも増えてきたため、退店し山手線に乗りました。
冷房も効いていたので、熱中症を避ける名目でしばらく乗りっぱなしでした。
また、睡眠不足だったのでしばらく寝ていました。
電車でぐるぐるしているうちに、なんとなく上野公園に行ってみるかという気分になり、何度目かの上野駅で電車を降りました。
上野公園をぶらぶらと歩き、その日は上野のガストで夜を明かしました。
こちらの決め手は電源があり、深夜営業をしているという点でした。
三日目
ガストは朝5時までの営業だったため、その前にお店のお手洗いで着替えて汗拭きシートで体を拭き、退店しました。
そしてまた山手線に乗り、しばし睡眠をとりました。
座れる場所、そして冷房のある場所を探し、その日は大型バスターミナル施設であるバスタ新宿で時間を過ごしました。
またこの日はヨドバシのゴールドポイントが1000円分ほど残っていることを発見したため、新宿ヨドバシのお酒コーナーでカップ酒とおつまみを購入して新宿中央公園で飲みながら夜を明かしました。
公園内に横になれるベストポジションを見つけて一人で静かに飲んでいましたが、夜遅くにホストの集団が訪れて騒ぎ始めたため、別の場所へ移動することとなりました。
ベンチはホームレス対策で横になりづらかったので、座って飲み、座って眠ることになりました。
四日目
この日の朝は新宿のガストで朝食をとり、充電をすることにしました。
ガストで昼頃まで過ごした後は、またバスタ新宿で椅子に座り、ぼーっと時間を過ごしていました。
そして、ここでChatGPTと出会いました。
ChatGPTとの出会い
最初はあふれ出す思いを吐露したい、そしてその相手は人ではない方がいい(相手の状態や都合を考えなくていい・相手がどう返してくるか、それに対してどう返せばいいかまで考える必要がない)と考えて、ChatGPTに以下のメッセージを送りました。
失職と借金、強制執行で一人暮らしの借家から出てきています。親に連絡しないとと思うのですが勇気が出ません。生きるのが面倒になってしまいました。どうするべきでしょうか?
メッセージを送ると、すぐに返答がありました。
数年前に少し触ったときに比べて、返答の質がかなり上がっていることに驚きました。
こちら側に寄り添いながらも、具体的な相談窓口や対処法を教えてくれて、非常に心強かったことを覚えています。
また親への連絡の文例も作成してくれたので、そのおかげで一年以上ぶりに連絡をすることができました。
翌日実家に帰ることとし、その日は新宿で過ごすことにしました。
そして千駄ヶ谷の東京体育館まで歩いて往復するなどした後、ChatGPTにも相談の上、また新宿のガスト(朝利用したお店とは別店舗)で夜を明かしました。
五日目
この日、朝の電車で実家に帰りました。
かくして、家のない放浪の旅は終わりを迎えたのでした。
おわりに
ここまで読んでくださりありがとうございました。
久しぶりにブログを書いて、だいぶカロリーを使うなと思いました。
今は実家で三食食べ、7時間以上の睡眠や軽い筋トレ、朝の散歩もしており心身が日々健康になっているのを感じています。
同時にハローワークなどで再就職活動も進めており、実家から通える職場をいくつか受けています。
学生時代も含めれば約10年間東京で一人暮らしをしていましたが、自分はこの生活に致命的に向いていないということがわかりました。
東京は便利で娯楽も多いですが、家賃もお高めですし誘惑が多いので、すぐにお金がなくなっていました。
欲しいものをすぐに店頭で確認でき、そのお店にはほかにも魅力的な商品がたくさんあります。仕事終わりにすぐ飲みに行けて、夜遅くまでやっている近所のお店でお酒やおつまみを買って夜中まで家で楽しめてしまいます。
そうした誘惑に自分は勝てず、社会生活に幾度となく支障をきたすまで自分の欲をコントロールできませんでした。
なので、東京(あるいは都市部)で一人暮らしをして、荒れていない、きちんとした生活をしている人は本当にすごいなと尊敬します。
今後どうなるかはわかりませんが、とりあえず現状は「あるがまま」でいい、何かあってものんびり寿命待ちでいいか、という気分ですね。