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【社説】2020年10月20日:復調道半ばの中国経済に残された課題/タイ反体制デモ双方が自制を

復調道半ばの中国経済に残された課題

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www.nikkei.com

要約

中国経済は復調しつつあるが、さらなる伸びには課題もある。

感想

世界経済が先進国から新興国まで停滞するなか、中国の7~9月実質経済成長率は前年同期比4.9%となりました。

4~6月の成長率は3.2%だったため、経済は正常化しつつあります。

 

今年1~3月は初のマイナス成長となりましたが、コロナウイルスを封じ込めたとして早期に外出制限を撤廃、また世界的なマスク需要やテレワークでのPC端末需要等で再度成長を始めました。

 

こうした状況を見ると、1929年の世界恐慌においてのソ連を思い出します。

資本主義社会を標榜する西側諸国を中心に経済のグローバル化が進んでいたところ、一国(アメリカ)の経済危機が貿易等でつながる各国に波及し、世界的な大不況となりました。

 

この間、1922年に成立したソビエト連邦は1928年から始めた第一次五か年計画の最中であり、国が土地や工場を国有化して経済活動を統制していたためほとんど影響を受けませんでした。

(もちろん、その裏で様々な弾圧・粛清が行われていたことも考慮しなければならないでしょう。)

 

91年前の恐慌と異なるのは、今の中国がかつてのソ連のような共産主義ではなく「社会主義市場経済」を導入している点です。

中国の憲法を読むと、社会主義市場経済の他にも「社会主義的民主主義」や「社会主義的法制度」といった理念が書かれており、社会主義を金科玉条としていることがわかります。

後段に国民主権や言論の自由も明記されているものの、憲法第一条に「いかなる組織又は個人も、社会主義制度を破壊することは、これを禁止する」と記載されており、こうした条文の構成からも中国が大切にするものがわかる気がします。

www.togenkyo.net

ソ連と比較すると、今の中国は他国とも多く貿易しており、国際経済に積極的に参加しているように思えます。

一方、米国との貿易摩擦による技術覇権争いといった強硬的な態度も目立ちます。

個人消費はいまだ弱さがみられる状況であり、「強い中国」を堅持するための戦略が、国民感情に疑問や不安を抱かせている可能性もあります。

 

イデオロギーが欧米をはじめとする先進国と異なるという点もありますが、そうした点をお互いに理解しようと努力していくことで歩み寄りが見られるのではないでしょうか。

また宇宙的な視点に立てば、「国」というプレイヤーが最大勢力のため、そこで覇権を争っているという考え方もできるでしょう。

もしも金星や火星といった他の星に生命があり、地球と同様な文明を築いていれば、「国対国」の対立ではなく「星対星」の競争となり、地球代表として一致団結する姿が見られるかもしれません。

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アポロ17号によって撮影された「ザ・ブルー・マーブル」

タイ反体制デモ双方が自制を

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www.nikkei.com

要約

体制に反発するデモ隊も政府も自制が必要。

感想

タイで学生を中心とした反体制デモが勃発しており、政府との対立が深まっています。

今回学生らは以下の3点を要求しています。

  1. 軍政の流れをくむ政権の退陣
  2. 軍政下で定められた憲法の改正
  3. 王室の改革

このうち3つ目の「王室改革」に政府は神経をとがらせています。

 

タイでは王室が神聖視されており、不敬罪もあります。

www.pri.org

他に不敬罪を有する国々が罰金や数年の禁固刑であるのに対し、タイでは最大で15年の禁固刑が言い渡される可能性があり、世界的に見ても王室に対する尊重の念(及び害を与える者への処罰)が大きいと言えるでしょう。

 

一方、政府も弾圧するだけではなく、憲法改正に向けた動きも見せています。

www.jetro.go.jp

タイではおよそ10年ごとに憲法が改正されており、近年では1997年、2007年、2017年に改められています。

延期されたものの、憲法改正の要件緩和などを盛り込んだ改正案を11月に採決するとしています。

www.jetro.go.jp

確かに強権的な、非民主的な政権に対して抗議の意を示すことは民主主義国家として当然のことでしょう(タイは国王を元首とする民主主義制です)。

ですが、これまで王室は国民に敬愛されてきた経緯もあり、人々の間でも学生らに反発する団体が出現しています。

 

暴力的手段に訴えても国内外の支持を得ることは難しいでしょうから、反政権側も憲法改正の動きに協力し、迅速な制度改正、そしてより良い体制を国全体で作り上げていく姿勢が必要なのではないでしょうか。

そうすることで状況は異なりますが、無血革命として有名な17世紀のイギリス名誉革命のように後世まで語り継がれることとなるでしょう。