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【社説】2020年10月19日:デジタル教科書の活用へ制度改正を/統一30年ドイツと絆を太く

デジタル教科書の活用へ制度改正を

記事本文

www.nikkei.com

要約

デジタル教科書の普及に向けた制度設計が必要。

感想

コロナ禍は様々な分野に変革を促しており、その1つが教育の場です。

教育における改革の論点は主に2点あり、1つは遠隔・オンライン教育、もう1つはデジタル教科書の活用です。

 

1つ目の遠隔・オンライン教育は今年前半の緊急事態宣言発令下において、外出・接触を可能な限り減らす観点から学校の授業が休止された折に注目を浴びました。

これで革新が進むかと思いきや、学校の通信回線が未整備であったり、家庭によっては端末に不備があることから、憲法第二十三条の「学問の自由」及び第二十六条の「教育を受ける権利と受けさせる義務」に違反しないかという恐れから及び腰になった学校が多くありました。

 

また教育基本法第十九条に「経済的理由によつて、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」という文言があります。

自治体はこのために、もし遠隔教育を実施しても様々な事情で参加できず授業で学ぶことが難しい家庭があった場合、市町村が端末を提供等する必要があるのか、また学校の回線整備費用を支払う等の必要があるかを考えたのではないでしょうか。

 

ただでさえコロナ禍で財政悪化をしている行政は支出が多くなる可能性がある道よりも、「知らぬが仏」という態度をとったのではないかと思います。

この自治体の戦略は、昨日の記事で取り上げた囚人のジレンマに似た印象を受けます。

platon.hatenablog.jp

 

2つ目のデジタル教科書については、遠隔・オンライン教育とともにちょうど最近も議論されています。

文部科学省の審議会である中央教育審議会が10月16日に開催され、配布資料にデジタル教科書についての記述があります。

www.mext.go.jp

この会議で配られた配布資料1-2「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(中間まとめ)【本文】の該当箇所を抜粋すると、以下の通りです。

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(中間まとめ)(抄)

第Ⅱ部 各論

6.遠隔・オンライン教育を含むICTを活用した学びの在り方について

⑤デジタル教科書・教材の普及促進

○ICTを活用した取組の促進と併せて、学習者用デジタル教科書*についても普及促進を図ることが重要である。このため、学習者用デジタル教科書の今後の在り方等について、その効果・影響等について検証しつつ、使用の基準や教材との連携の在り方も含め、学びの充実の観点から検討を行うことが必要である。また、当該検討結果を踏まえた本格的な導入が見込まれる令和6年度の小学校用教科書の改訂までの間においても、学習者用デジタル教科書・教材の学校現場における使用が着実に進むよう普及促進を図る必要がある。

 

*紙の教科書の内容の全部(電磁的記録に記録することに伴って変更が必要となる内容を除く。)をそのまま記録した電磁的記録である教材。学校教育法等の一部改正(平成30年法律第39号)により、平成31(2019)年4月より、紙の教科書を主たる教材として使用することを基本としつつ、文部科学大臣の定める範囲で、紙の教科書に代えて学習者用デジタル教科書を使用することが可能となった。

仕方がないとはいえ、本当に長ったらしい文章ですね・・・。

要は「デジタル教科書は紙の教科書と同じ内容にしてね」「本格的に使うとしても令和6年度(4年後)以降だよ」ということです。

 

遅すぎやしないかと言いたくなりますが、これでも法改正によって昨年4月からデジタル教科書の使用が可能となり、進歩はしているそうです。

また文科省の審議会ではデジタル技術は教育のために必要としつつも、対面・オフラインでの学びも重要と語っており、その二項対立といった軸で考えてはならないとしています。

 

彼らの考え方には賛同できますが、現在のような紙の教科書と同一の内容のデジタル教科書ではどちらかの選択を強いられ、ひいては紙とデジタルの対立を招いてしまいかねません。

オフラインとオンラインを組み合わせた「Education Mix」を行い、地図帳や資料集といった絵や図・音などで理解を深めるためにデジタル教科書を使い、教科書検定がネックとなるのであれば、デジタル教科書はアプリやソフトのように定期アップデートを行うこととすればよいでしょう。

文科省や新設が見込まれるデジタル庁が、App storeやGoogle play storeのようなプラットフォームを提供し、手間や労力のかかる大規模な検定をするのではなく、デジタル教科書提供会社が更新ファイルをプラットフォームに送信し、問題があればそれらをアップロードせず、改善点を明示して修正してもらう仕組みを導入してみてはいかがでしょうか。

 

統一30年ドイツと絆を太く

記事本文

www.nikkei.com

要約

東西ドイツから30年、国際協調に向け日独が協力して働きかけたい。

感想

30年前の1990年10月3日、東ドイツと西ドイツが統一されました。

ちなみに象徴的なベルリンの壁崩壊は、前年1989年11月10日の出来事です。

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ブランデンブルク門近くのベルリンの壁に登る東西ベルリン市民

以降のドイツは自由貿易の恩恵にあずかり、EU(欧州連合)の盟主として、経済的・政治的にヨーロッパをリードしてきました。

ですが、近年ではイギリスのEU離脱をはじめ、米中の自国優先主義と対立、ロシアのアフリカ干渉といった国際秩序の揺らぎに直面しています。

 

こうした中難しいかじ取りを迫られるメルケル独首相は、来年で最終任期である4期目を終えます。

その点では日本の菅総理も同様であり(解散総選挙という道もありますが)、国際社会に協調の道筋を残そうと最後の力を振り絞るメルケル首相に政治家として共感し、協働することができるのではないでしょうか。

 

いま、各国は経済停滞もあいまって自国第一主義の保護貿易に走り、自ら壁をつくろうとしています。

ベルリンのみならず、世界の「壁」を壊し国際秩序の構築に向かうドイツの動きに付き添い、促し、協力することが日本に期待されています。