platonのブログ

思考の整理とアウトプット、たまにグラブル

オンラインのお寺についてプラトン「パイドン」を通して考える

はじめに

先日の日経新聞にこんな記事がありました。

コロナでお寺ピンチ 法要見送りでお布施激減

www.nikkei.com

なんでも過疎化や時勢の影響で客足が遠のき、法要(≒法事、冥福を祈る行事)をする人が減少してお寺の財政基盤が揺らいでいるそうな。

そんな中、HPに動画を載せて魅力を伝えたりといった様々な試みにチャレンジするお寺が増えています。

Webマガジン形式で仏教に関する情報を発信する「インターネット寺院 彼岸寺」や、お寺をもっと身近に感じられる場を提供する「オンライン寺院 信行寺」など、実在する寺院の紹介という枠にとらわれない事例もあります。

 

面白いと思ったのは、Zoom等のオンライン会議システムを使って法要をライブ中継したり、Youtubeで配信するお寺も現れていることです。

昨今様々な業態がオンライン化に挑戦していますが、ついにお寺もこの波に乗ってきたかと思いました。

 

オンライン法要に効果はあるのか

そこでふと、オンラインで法要をする場合に弔いの効果はあるのだろうかということが気になりました。

ざっとオンライン法要を行っている寺院のサイトや是非を論じている記事を流し見したところ、利便性やコスト面での利点を紹介するものや、あるいは神秘性の担保といった抽象的な議論をしているものが多く、効果があるかどうかという記述はほとんどありませんでした。

 

そもそも法要ないし法事とは「釈迦の教えを知る」というものでしたが、時代の流れで現在のような儀式一般を指すようになったそうです。

オンラインで冥福を祈る場合、それは死者に届くのか。そして、釈迦の教えを知るという本来の目的を達成することは可能なのか。

それを考える上で、釈迦の没後現れた賢人プラトンの著作が役に立ちそうです。

 

プラトン「パイドン」をもとに考える

皆さんおなじみ古代ギリシアの哲学者プラトンによって著された「パイドン」は、師ソクラテスが裁判にかけられ演説する様子を描いた「ソクラテスの弁明」、牢に入れられたソクラテスが旧友に亡命を勧められるも自身の信念から断る「クリトン」に続く三部作のラストを飾っています。

そこでは処刑当日のソクラテスが弟子たちと語り合うなかで、魂(アルケー)の所在について議論をしており、肉体と魂は別の存在で、命が尽きても魂は不滅であると書かれています。

 

またソクラテスが霊魂不滅の証明をする途中で、魂が何かを考察する場合、純粋な思索のみをすることによって不変なもの≒イデアに到達することが可能であり、視覚や聴覚といった肉体を通して行う際には自己統一的でない、変わりゆくものに引きずられてしまい真の永遠的なものにたどり着かないということも述べています。

それを踏まえると、寺院のオンライン化はむしろ魂にとっては肉体という枷を外すことになり、死者の魂を弔うには好都合なのではないかと考えられます。

 

冥福を祈るのは魂か、肉体か

しかし、ここでまた新たな問題が発生します。

もしも魂による純粋な思索によって法要することが目的にかなうのであれば、わざわざ肉体を一か所に集めて儀式をする必要は無いでしょう。

ですが、冥福を祈る主体は「現世」にいる人々です。

現世にいるということはすなわち魂が肉体を持っているということであり、そう考えると肉体を用いて行われる従来の法要は理にかなっているとも捉えられます。

 

肉体・魂・法要の関係性としては、肉体は「現世」で祈りをささげる場合に必要なものではあるものの、祈り自体は魂の純粋な思索により行った方が「死者の魂」という不変なもの(∵霊魂が不滅というソクラテスの説による)を曇りなく思惟することが可能になるのだろうと考えられます。

そして、釈迦の教え(生きることは苦しいが、諸行無常及びあらゆるものがつながっている因果関係を理解し、煩悩を捨て去って執着しないことで安らかに生きられる)を知ることも魂の思索で可能でしょう。特に「諸行無常」の部分は、魂(=不変なもの)と肉体(変わりゆくもの)との比較で容易に捉えることができると言えます。

 

結論

かなりスピリチュアルで抽象的な話になりましたが、結論としては「オンライン法要は

OK。なぜなら死者の魂を自らの魂によって想うことこそが最も効果的であるから」となります。

 

おわりに

応用としてお寺だけではなく、神社で行われるまつりごとでも同様の結論が導き出せると思います。プラトンは魂を神的なものと結び付けて考えているので、仏様を敬うお寺と同様、神様を敬う神社においても魂の純粋な思索による方が御利益があるのではないかと思います。

 

なお現世を見てみると、オンライン寺社の取組は増えていますが実際の参拝の「代わり」という立ち位置が多い気がします。感染症が落ち着いたらオフラインに戻ろうとする所が多いのではないでしょうか。

どんな形式であれ、魂を大切にしていきたいものですね。

 

その他

神社つながりで西南西の猿神宮の主、アンチラに魂を込めて指輪と耳飾りを渡したところ、めちゃくちゃ強い神的なボーナスが付きました。

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サムネ用アンチラ

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与ダメアップはシスにほしかったなあ・・・(背水+8)